在留資格「定住者」は、出入国在留管理庁によると「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」に与えられる在留資格です。

今回は「どのような人が定住者になるのか」という点に絞って、定住者の種類を詳しく解説します。

「告示定住」と「告示外定住」とは

まず、在留資格「定住者」は「告示定住」と「告示外定住」に分けられます。
簡単に言うと

告示定住
「このような人なら定住者として受け入れる」という対象が法務大臣の告示であらかじめ決まっているもの。

告示外定住
告示に直接規定はないものの、その人の日本での生活、家族関係、人道上の事情などを個別に審査した結果、定住者として在留させることが相当と判断されるもの

という感じです。

海外から在留資格認定証明書(COE)によって定住者として新規入国する場合には、原則として告示定住に該当する必要がありますので注意が必要です。(在留資格認定証明書交付申請|出入国在留管理局

では次に、定住者の類型をそれぞれ見ていきましょう。

第三国定住によって受け入れられる難民(告示定住)

定住者告示1号は、第三国定住によって日本が受け入れる難民などを対象としています。

「第三国定住」とは、出身国から避難し、別の国で一時的に保護されている難民を、日本などの第三国が受け入れて定住させる制度です。

日本では2010年度から第三国定住による難民の受入れを開始し、現在は対象地域も拡大されています。

なお、これは「日本に来てから難民認定申請をして難民と認められた人」とは別の制度です。この違いについては後ほど説明します。

日本人の孫(日系3世)

定住者の代表例の一つが、日本人の孫にあたる「日系3世」です。

簡単に言うと、日本人のおじいちゃん・お婆ちゃんの血を引いている外国人の方のための在留資格です。

日系人の申請では、日本人である祖父母から申請人までのつながりを、戸籍、除籍謄本、出生証明書、婚姻証明書などによって証明することが非常に重要になります。

元日本人が日本国籍を離脱した後に生まれた実子(日系2世)

日本人が国籍を取得するなどして日本国籍を離脱し、その日本国籍離脱後に生まれた実子は、一定の場合に定住者の対象となります。

たとえば、

日本人の人が日本国籍離脱、中国人となった

中国人の人と結婚し、中国籍の子供をもうけた場合。

※親がまだ日本国籍を有している時に生まれた実子については、原則として「日本人の配偶者等」の在留資格を検討します。

元日本人が国籍を離脱する前に生まれた子の実子(日系3世)

元日本人が日本国籍を離脱するに子どもが生まれ、その子どもにさらに子どもが生まれた場合も、一定の場合には定住者の対象になります。

つまり、

元日本人
↓日本国籍を持っていた時に実子が出生
実子

その実子

という日系3世のケースです。

定住者告示では、日系人の世代関係や日本国籍を離脱した時期によって細かく類型が定められています。出入国在留管理庁が公表している日系人の関係図でも、日系2世・3世について「日本人の配偶者等」または「定住者」となる関係が整理されています。

元日本人の実子の実子にあたる一定の日系3世

定住者告示4号では、

「日本人の子として出生し、かつて日本国民として日本に本籍を有していた人の実子の実子」

という類型も定められています。

簡単に言えば、日本から海外へ移住し、その後日本国籍を失った方の「孫」にあたる日系3世のうち、他の規定ではカバーできない一定の方を対象とする規定です。

日系人の定住者は一見すると単純に「3世なら定住者」と思われがちですが、実際には祖父母・父母の国籍の変動や出生時期によって適用される規定が異なります。

日系人などの配偶者

本人だけではなく、一定の日系人や定住者の配偶者も定住者になる場合があります。

代表的には、

  • 「日本人の配偶者等」で在留する日系2世の配偶者
  • 一定の「定住者」の配偶者
  • 定住者である日系2世・日系3世の配偶者

などです。

出入国在留管理庁も、日系2世の配偶者、日系3世の配偶者について、それぞれ「定住者」の申請類型を設けています。

日本人・永住者・定住者などの扶養を受ける未成年・未婚の実子

一定の人の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子についても定住者が認められる場合があります。

実務上よく問題になるのが「外国人配偶者の連れ子」です。

たとえば、日本人男性が外国人女性と結婚し、その外国人女性に前婚の未成年の子どもがいる場合、その子どもを日本へ呼び寄せる際に「定住者」が検討されます。

また、永住者や一定の定住者の子どもなども対象になる場合があります。

ここで特に重要なのが年齢です。

民法の成年年齢引下げに伴い、2022年4月1日から定住者告示における「未成年」は18歳未満となっています。現在は18歳以上の人を「未成年・未婚の実子」という類型で新たに定住者として呼び寄せることはできません。

さらに、在留資格認定証明書が交付されていても、18歳になった後に入国することはできないため、17歳の子どもを呼び寄せる場合には特に注意が必要です。

6歳未満の養子

日本人、永住者、定住者、特別永住者などの扶養を受けて生活する6歳未満の養子についても、一定の場合に定住者として日本へ呼び寄せることができます。

ここでいう養子には、一定の普通養子が含まれます。

一方、日本人の「特別養子」は「日本人の配偶者等」の対象となるため、定住者とは制度が異なります。

中国残留邦人やその一定の親族

中国残留邦人等についても、定住者告示に特別な規定が設けられています。

第二次世界大戦後の混乱などによって中国に残ることとなった中国残留邦人の歴史的な事情を考慮し、本人だけでなく、一定の配偶者、実子その他の親族についても定住者が認められる制度があります。

通常の日系人に関する規定とは異なる特別な類型で、定住者告示8号に詳細な範囲が定められています。


個別事情によって認められる「告示外定住者」

ここまで説明したのは、法務大臣があらかじめ定住者告示で定めている「告示定住者」です。

これに対して、定住者告示には直接該当しなくても、日本での在留歴、家族関係、日本人の子どもの養育、人道上の事情などを個別に考慮した結果、「定住者」として在留することが相当と判断された場合に認められる「告示外定住」があります。

代表的な類型を見ていきます。

日本で難民認定を受けた人

日本で難民認定申請を行い、法務大臣から難民として認定された外国人には、原則として在留資格「定住者」が付与されます。

先ほど説明した「第三国定住難民」と混同しやすいですが、制度は異なります。

第三国定住難民は、日本政府が海外から受け入れる制度です。

一方、こちらは日本にいる外国人が難民認定申請を行い、日本の難民認定手続によって難民と認められるケースです。

補完的保護対象者として認定された人

2023年12月から「補完的保護対象者認定制度」が始まりました。

これは難民条約上の難民には該当しないものの、紛争などの事情から難民と同様に保護する必要がある外国人を保護するための制度です。

補完的保護対象者として認定された外国人にも、難民認定を受けた外国人と同様、原則として「定住者」が付与されます。

現在の定住者を説明するうえでは、難民認定者だけでなく、この補完的保護対象者も重要な類型です。

日本人・永住者などとの離婚後も日本で生活する人

実務上よく相談があるのが、離婚後の定住者への変更です。

たとえば「日本人の配偶者等」で在留していた外国人が日本人と離婚した場合、配偶者としての在留資格の前提を失うため、今後も日本に住み続けるのであれば別の在留資格を検討する必要があります。

その際、

  • 日本での在留期間
  • 実際の婚姻生活の期間
  • 離婚に至った経緯
  • 日本に生活基盤があるか
  • 仕事や収入があるか
  • 子どもがいるか
  • 日本人の子どもを養育しているか

などを総合的に考慮して、定住者への変更が認められることがあります。

入管庁が公表している許可事例には、約6年6か月の婚姻後に離婚し、日本人実子を監護・養育していたケースや、親権は元配偶者にあるものの日本人実子への養育費の支払いを継続していたケースなどがあります。

日本人・永住者・特別永住者である配偶者と死別した人

配偶者と死別した場合についても、これまでの婚姻生活や日本での生活基盤などから、定住者への変更が認められることがあります。

入管庁の公表事例では、特別永住者の配偶者と死別した外国人について、日本に約13年8か月在留し、自ら経営する事業を継続する必要があり、一定の収入もあったケースで定住者への変更が認められています。

離婚と同様、死別したという事実だけで自動的に定住者になるわけではありません。

日本人の実子を監護・養育する外国人親

日本人の実子を日本で監護・養育している外国人の父または母について、定住者への変更が認められる場合があります。

典型例は、日本人との離婚後、外国人親が日本人の子どもの親権者となり、日本国内で実際に子どもを育てているケースです。

この類型では、

日本人実子との親子関係、親権、実際の監護・養育状況

が特に重要になります。

過去の入管の取扱いでも、未成年・未婚の日本人実子を扶養する外国人親について、親子関係、親権、相当期間の監護・養育などを確認したうえで定住者を認める取扱いが示されています。

婚姻関係が事実上破綻している人

まだ法律上は離婚していなくても、夫婦関係が事実上破綻している場合に定住者への変更が認められるケースがあります。

たとえば、

  • DVにより長期間別居している
  • 夫婦双方に明確な離婚意思がある
  • 離婚調停や離婚訴訟を進めている
  • 配偶者との共同生活を再開する可能性がない

といった事情です。

入管庁の公表事例にも、DVを原因として別居し、婚姻関係が事実上破綻していたケースについて定住者への変更を認めた例があります。

単に「夫婦仲が悪い」「一時的に別居している」というだけではなく、婚姻関係が実質的に終了しているといえる状況があるかが重要です。

「家族滞在」で日本の小中高校を卒業し、日本で就職する人

日本で育った外国人の子どもについても、特別な取扱いがあります。

父母に同伴して「家族滞在」で日本に入国し、

  • 日本の小学校を卒業
  • 日本の中学校を卒業
  • 日本の高校等を卒業または卒業予定
  • 入国後、引き続き家族滞在等で在留
  • 入国時18歳未満
  • 日本での就職先が決まっている
  • 住居地の届出などの公的義務を履行している

という要件を満たす場合には、「定住者」への変更対象となります。

ここでは単に「高校を卒業した」だけではなく、日本の義務教育である小学校・中学校を修了しているかが重要なポイントです。

高校卒業後の「特定活動」から「定住者」へ変更する人

日本の小中学校を卒業していない場合など、一定の外国人については、高校卒業時点では「定住者」ではなく、就労を目的とする「特定活動」への変更が認められる場合があります。

その後、一定期間日本で生活・就労した場合には、さらに「定住者」へ変更できる制度があります。

2024年に要件が明確化され、現在は主に、

  • 日本の高校卒業以上の学歴があること
  • 就労を目的とする「特定活動」または一定の就労資格で5年以上在留していること
  • 就職先が決まっていること
  • 独立して生活できる能力があること
  • 入管法上の届出や税金等の公的義務を履行していること

などが要件となっています。

つまり、「家族滞在→特定活動→定住者」というルートも存在します。

日系4世が「特定活動」で5年間活動した後に定住者へ変更するケース

日系4世についても、現在は一定の場合に定住者への道があります。

通常、日系3世までは定住者の対象となり得ますが、成人した日系4世が「日系4世だから」という理由だけで直接定住者になることは原則としてできません。

そのため、2018年から「日系四世の更なる受入れ制度」が設けられ、「特定活動」によって一定期間日本に滞在できる制度が運用されています。

さらに2023年12月の制度見直しによって、この制度を利用して通算5年間適切に活動し、一定の要件を満たした日系4世については、「特定活動」から「定住者」への変更が認められるようになりました。

現在の日系人の定住者制度を理解するうえでは、このルートも押さえておく必要があります。

まとめ

「定住者」という在留資格は一つですが、その中身には非常に多くの種類があります。

特に告示外定住については、「何年以上結婚していれば許可される」「何年間日本に住めば許可される」という一つの基準だけで判断できるものではありません。

同じ「定住者」であっても、申請する理由によって審査されるポイントや提出する資料は大きく異なります。

そのため、定住者の申請を考える際には、まず自分がどの類型の定住者に該当するのかを正確に判断することが非常に重要です。

宍戸

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