「両親が離婚したら、子どものビザもなくなってしまうの?」
「離婚後、子どもは母親と一緒に日本で暮らし続けられる?」
「親権を持っていない親でも、子どもの在留資格を更新できる?」
日本で暮らす外国人のご家庭では、離婚に伴って子どもの在留資格について不安を抱える方も少なくありません。
特に、子どもが「家族滞在」や「定住者」の在留資格で日本に滞在している場合、離婚後の生活状況によっては、在留資格の変更や更新に注意が必要です。
結論から申し上げると、親が離婚したからといって、子どもの在留資格が直ちになくなるわけではありません。
ただし、子どもが現在どのような在留資格を持っているのか、離婚後は誰が養育するのかによって、必要な手続きが異なります。
この記事では、外国人の子どもの在留資格について、離婚後の変更・更新の注意点を行政書士が解説します。
親が離婚すると、子どもの在留資格もなくなる?
まず大前提として知っておいていただきたいのは、親の在留資格と子どもの在留資格は、それぞれ別に付与されているということです。
そのため、親が離婚したという事実だけで、子どもの在留資格が自動的に取り消されるわけではありません。
しかし、子どもの在留資格は基本的に親の扶養や身分関係を前提としている場合が多く、離婚の影響を受ける可能性があるのです。
代表的な在留資格について整理すると、次のようになります。
| 子どもの国籍・在留資格 | 離婚による影響 |
|---|---|
| 日本国籍 | 在留資格は不要なので、離婚による影響なし |
| 永住者 | 原則として離婚の影響なし |
| 家族滞在 | 離婚後の扶養関係によって影響する可能性あり |
| 定住者 | 取得した経緯や離婚後の養育状況によって判断 |
| 日本人の配偶者等(日本人の実子) | 親の離婚だけで資格の根拠は失われない |
| 永住者の配偶者等(永住者等の子) | 親の離婚だけで資格の根拠は失われない |
このように、同じ外国人の子どもでも、在留資格によって取り扱いが異なります。
以下では、それぞれのケースを詳しく説明します。
「家族滞在」の子どもは、親が離婚したらどうなる?
外国人同士の夫婦が離婚する場合、特に注意したいのが「家族滞在」の在留資格です。
「家族滞在」は、一定の在留資格を持つ外国人から扶養を受ける配偶者や子どもに認められる在留資格です。
例えば、次のような家族を考えてみましょう。
- 父親:中国国籍・技術・人文知識・国際業務
- 母親:中国国籍・家族滞在
- 子ども:中国国籍・家族滞在
この家族が離婚した場合、母親と子どもの在留資格はどうなるのでしょうか。
父親が離婚後も子どもを扶養する場合
離婚後も父親が日本で働き、子どもの生活費や教育費を負担するのであれば、子どもが引き続き「家族滞在」で日本に在留できる可能性があります。
重要なのは、離婚したかどうかだけでなく、在留資格の対象となる親から、実際に扶養を受けているかどうかです。
例えば、離婚後に子どもが母親と暮らしていても、父親が継続して生活費や教育費を負担している場合には、その扶養実態を踏まえて判断されます。
ただし、親子が別居している場合には、扶養関係を詳しく説明するよう求められることがあります。
養育費の振込記録など、実際に扶養していることを示す資料を残しておくとよいでしょう。
父親が扶養しなくなった場合
一方、離婚後に父親からの扶養がなくなり、母親が単独で子どもを養育することになった場合は注意が必要です。
母親が「家族滞在」のままでは、離婚後に配偶者としての在留資格の根拠を失います。
そのため、母親自身が別の在留資格への変更を検討しなければなりません。
さらに、子どもについても、新しい扶養関係に適した在留資格を検討する必要があります。
日本人と外国人が離婚した場合、子どもの在留資格は?
次に、日本人と外国人の夫婦が離婚したケースを考えてみましょう。
この場合、まず確認する必要があるのは子どもの国籍です。
子どもが日本国籍の場合
子どもが日本国籍を持っている場合、日本で生活するための在留資格は必要ありません。
したがって、両親が離婚しても、子ども自身の日本での在留について問題が生じることはありません。
ただし、外国人である父親または母親については別の問題があります。
例えば、日本人の夫と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格で生活していた外国人女性が離婚した場合、配偶者としての在留資格の根拠が失われます。
この場合、日本人の子どもを実際に監護・養育しているなどの事情があれば、「定住者」への変更が認められる可能性があります。
とはいえ、子どもの親権を持っているというだけで、必ず許可されるわけではありません。実際の養育状況や生活基盤などを踏まえて審査されます。
子どもが外国籍の場合
日本人と外国人の間に生まれた子どもでも、事情によって外国籍である場合があります。
その子どもが、日本人の子として出生した者に該当し、「日本人の配偶者等」の在留資格を持っている場合には、親の離婚だけでその資格の根拠が失われるわけではありません。
これは、「日本人の配偶者等」という在留資格が、日本人の配偶者だけでなく、日本人の子として出生した外国人も対象としているためです。
ただし、日本人の子として出生したことと、現在日本人の親がいることは必ずしも同じではありません。
個別の国籍や親子関係、出生時の事情を確認する必要があります。
「定住者」の子どもは、離婚後も日本に住める?
外国人の子どもの在留資格として、もう一つ重要なのが「定住者」です。
例えば、外国人女性が前の結婚相手との間に生まれた外国籍の子どもを連れて、日本人男性と再婚したケースを考えてみましょう。
- 父親(継父):日本人
- 母親:外国人・日本人の配偶者等
- 子ども:外国人・定住者
このような家庭では、一定の条件を満たせば、子どもが「定住者」として在留できる場合があります。
それでは、母親と日本人の継父が離婚したらどうなるのでしょうか。
定住者の資格は離婚によって自動的になくならない
まず、「定住者」の在留資格も、親が離婚したという理由だけで直ちに失われるわけではありません。
ただし、その在留資格を取得した際に前提となっていた親の身分や扶養関係が変わるため、次回の更新審査に影響する可能性があります。
例えば、離婚後に母親が「定住者」に変更できた場合、子どもについても、母親から扶養を受ける未成年・未婚の実子として「定住者」の在留を継続できるか検討することになります。
一方、母親が日本での在留を継続できない場合や、子どもを扶養できない場合には、別の対応を考えなければなりません。
特に、離婚後に子どもが誰と暮らし、誰から生活費の援助を受けるのかは重要です。
子どもが18歳以上の場合は?
ここで注意したいのが、子どもの年齢です。定住者告示で定められている「未成年で未婚の実子」は、原則として18歳未満を指します。
したがって、18歳以上の子どもが新たにその類型によって在留資格を取得しようとする場合は、原則として対象になりません。、
すでに「定住者」の在留資格を持っている子どもが18歳になったからといって、直ちに在留資格を失うわけではありません。
更新時には、それまでの日本での生活状況や在留資格を取得した経緯などを踏まえ、個別に判断されます。
18歳前後のお子さんがいる場合には、進学・就職の予定も含め、早めに在留資格を確認しておくことをおすすめします。
離婚後、子どもの親権は在留資格に影響する?
親の離婚と子どもの在留資格を考える際、親権の問題も重要です。
2026年4月1日から、日本では離婚後の親権に関する制度が変わり、父母双方を親権者とする共同親権と、一方のみを親権者とする単独親権の制度が導入されました。
在留資格の審査においては、親権があるかどうかだけで判断されるわけではありませんが、次のような事情は重要になります。
- 離婚後、子どもが誰と生活しているか
- 日常的に誰が子どもの世話をしているか
- 生活費や教育費を誰が負担しているか
- 子どもが日本の学校に通っているか
- 今後も日本で安定して生活できるか
例えば、外国人の母親が単独親権を持っていても、実際には子どもを養育していない場合、親権の存在だけで在留資格が認められるとは限りません。
反対に、親権を持たない外国人の父親であっても、養育費の支払いなどを続けている事情が在留審査で考慮される場合があります。
実際に、出入国在留管理庁が公表した事例には、日本人女性と離婚した外国人男性について、親権者が元配偶者でありながら、日本人実子への養育費の支払いなどを考慮し、「定住者」への変更が認められた例があります。
形式的な親権の有無だけでなく、実際の親子関係や養育状況を説明することが重要です。
離婚後の在留資格変更・更新で注意したいこと
親の離婚によって子どもの在留資格に影響が生じる可能性がある場合、次の点に注意してください。
① 在留期限まで放置しない
離婚後も在留カードに記載された期限が残っているからといって、何もせずに待っていてよいわけではありません。特に「家族滞在」の場合、扶養関係や扶養者の在留資格が変わると、従来の在留資格の前提を満たさなくなることがあります。
更新時になって初めて相談するのではなく、離婚が決まった段階で、子どもの在留資格についても確認しておきましょう。
② 親の在留資格と子どもの在留資格を一緒に確認する
子どもの在留資格を考える際には、親の在留資格も確認する必要があります。
例えば、外国人の母親が離婚後に「定住者」へ変更する場合、子どもについても、その在留資格に応じた手続きが必要になる可能性があります。
親の在留資格だけを変更し、子どもの在留資格を確認しなかったという事態は避けたいところです。
③ 離婚後の生活状況を説明できるようにする
入管での審査では、離婚後の生活状況を確認されることがあります。例えば、次のような資料は用意しておいてください。
- 離婚したことを証明する書類
- 親子関係を証明する書類
- 親権や監護に関する書類
- 親子の住民票
- 親の在職証明書や収入に関する資料
- 養育費の支払記録
- 子どもの在学証明書
- 離婚後の生活状況を説明する理由書
※必要な書類は、現在の在留資格や申請内容によって異なります。
特に別居している親から扶養を受ける場合には、実際の送金記録や生活費の負担状況などを説明できるようにしておくことが大切です。
④ 外国人の親は離婚の届出が必要になる場合がある
子どもの手続きとは別に、配偶者として「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」の在留資格を持っている方が離婚した場合には、原則として離婚から14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。
一方、これらの在留資格を子どもとして持っている方については、親の離婚を理由とする配偶者届出の義務はありません。
また、配偶者として在留していた方が離婚しても、その瞬間に在留資格が取り消されるわけではありませんが、従来の身分関係が失われた以上、早期に適切な在留資格への変更を検討することが重要です。
なお、14日以内の届出と在留資格の変更申請は、別の手続きです。
よくある質問
Q1. 両親が離婚しても、子どもは日本の学校に通い続けられますか?
親が離婚しただけで、子どもが日本の学校に通えなくなるわけではありません。
ただし、外国籍の子どもが日本での生活を継続するためには、適法な在留資格を維持する必要があります。
現在の在留資格を更新できない場合には、留学など別の在留資格への変更も含めて検討することになります。
Q2. 子どもが母親と暮らし、父親が養育費を払う場合、「家族滞在」は更新できますか?
父親が引き続き「家族滞在」の扶養者となれる在留資格を持ち、子どもを実際に扶養している場合には、更新が認められる可能性があります。ただし、別居している場合には、養育費の支払実績などを確認されることがあります。
親権が誰にあるかだけでなく、実際の扶養関係が重要です。
Q3. 日本人の父親と外国人の母親が離婚した場合、子どもは帰国しなければなりませんか?
子どもが日本国籍であれば、当然ながら帰国する必要はありません。
子どもが外国籍であっても、現在の在留資格や親子関係によっては、引き続き日本で生活できる可能性があります。ただし、外国人の母親自身の在留資格については、別途検討する必要があります。
Q4. 離婚後、母親が子どもの親権を持たない場合、日本に住み続けることはできませんか?
外国人の母親が日本人の子どもの親権を持たない場合でも、それだけで日本での在留が不可能になるわけではありません。
日本人実子との関係や養育費の負担状況、その他の生活事情などを踏まえ、「定住者」への変更が認められた公表事例もあります。
ただし、個別事情による審査となるため、必ず許可されるわけではありません。
Q5. 離婚後、子どもの在留資格を変更しないまま更新することはできますか?
現在の在留資格の要件を離婚後も満たしている場合には、同じ在留資格で更新できる可能性があります。
一方、離婚によって扶養関係や在留資格の根拠が変化した場合には、変更申請などが必要になることがあります。
離婚後の状況を正確に確認することが大切です。
まとめ|親の離婚後も子どもが日本で生活するために

親が離婚したからといって、子どもの在留資格が直ちになくなるわけではありませんが、離婚後の生活状況によっては、在留資格の変更や更新に影響が生じる可能性があります。
特に重要なのは、次の3点です。
① 子どもが現在どの在留資格を持っているか
家族滞在、定住者、日本人の配偶者等など、在留資格によって離婚の影響は異なります。
② 離婚後、誰が子どもを養育・扶養するのか
親権の有無だけでなく、実際の同居状況、養育費の負担、生活環境などが重要になります。
③ 親と子どもの在留資格を一緒に検討すること
親の在留資格が変わる場合には、子どもの在留資格についても確認する必要があります。
離婚という家庭環境の変化があっても、子どもが日本での生活や教育を継続できる可能性はあります。
しかし、対応が遅れると、在留資格の変更や更新が難しくなる場合もあります。
離婚を検討している段階、あるいは離婚後の子どもの在留資格に不安がある場合には、早めに在留資格申請の専門家へご相談ください。
当事務所では、外国人の子どもの在留資格変更・更新に関するご相談を承っております。
親の離婚によって子どもの在留資格にどのような影響があるのか、現在の在留資格や家族状況を確認した上で、適切な申請方法をご案内いたします。
参考資料
- 出入国在留管理庁:在留資格「家族滞在」
- 出入国在留管理庁:在留資格「日本人の配偶者等」
- 出入国在留管理庁:在留資格「定住者」
- 出入国在留管理庁:「定住者」への変更許可・不許可事例
- 出入国在留管理庁:配偶者に関する届出
- 法務省:父母の離婚後等の子の養育に関する民法改正

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