日本の高校に通っている外国籍の皆さん、卒業後の進路はもう決まっていますか?

「日本で育ったので、卒業後も日本で生活したい」
「高校を卒業したら、日本の会社で正社員として働きたい」
「在留カードには『家族滞在』と書いてあるけれど、就職できるの?」
「大学に進学する予定だったけど、親が離婚して働く必要がある」

この記事はこのような疑問を持っている方へ向けた記事となります。

結論から言うと、「家族滞在」の在留資格で日本に住んでいる高校生でも、一定の条件を満たせば、高校卒業後に「定住者」へ変更し、働くことができる方法があります。

また、直接「定住者」に変更できない場合でも、「特定活動」という在留資格を取得して、日本で働く方法があります。

今回は、出入国在留管理庁の公式資料をもとに、高校卒業後も日本で働きたい外国籍の高校生や、その保護者の方に向けて、条件や手続きを分かりやすく説明します。

「家族滞在」のままでは正社員として働けない?

「そのまま家族滞在のままで正社員として働けないの?」

と思う方もいるかもしれませんが、「家族滞在」は、主に日本で働いている外国人の配偶者や子どもが、家族と一緒に日本で生活するための在留資格です。

「家族滞在」では、原則として働くことができません。ただし、「資格外活動許可」を取得すれば、原則として週28時間以内のアルバイトが認められます。

そのため、高校を卒業して日本の会社に就職し、週40時間などのフルタイム勤務を希望する場合には、原則として在留資格の変更が必要になるのです。

そこで考えられるのが、「定住者」または就労を目的とする「特定活動」への変更です。

「定住者」になると何が変わる?

「定住者」は、日本での生活や就労について、幅広い活動が認められる在留資格です。

「定住者」になると、在留資格による職種や労働時間の制限がなくなり、一般的な正社員としての勤務はもちろん、飲食店、工場、販売業など、さまざまな仕事に就くことができます。

ただし、「定住者」は「永住者」とは異なります。在留期限があるため、期限が来る前に更新手続きをする必要があります。

高校卒業後に「定住者」へ変更できる6つの条件

出入国在留管理庁は、次の6つの条件をすべて満たす方を、原則として「定住者」への変更対象としています。

① 日本の小学校と中学校を卒業していること

日本の小学校と中学校の両方を卒業している必要があります。

例えば、小学4年生のときに日本へ来て、日本の小学校、中学校を卒業した方は、この条件を満たします。
一方、中学1年生から日本に来た場合など、日本の小学校を卒業していない方は、原則としてこの条件を満たしません。なお、夜間中学校なども対象に含まれます。

② 日本の高校を卒業している、または卒業見込みであること

日本の高校を卒業している方だけでなく、現在高校3年生で、卒業見込みの方も対象となります。
全日制の高校に限らず、定時制高校や通信制高校も対象です。高等専門学校や、一定の条件を満たす専修学校の高等課程なども対象に含まれます。

③ 入国後、引き続き「家族滞在」で日本に住んでいること

基本的には、親の扶養を受けながら「家族滞在」の在留資格で日本に生活している方が対象です。
ただし、現在の在留資格が「留学」などであっても、「家族滞在」の在留資格に該当する事情がある場合には、対象となる可能性があります。

④ 日本に入国したときに18歳未満だったこと

ここで重要なのは、現在の年齢ではなく、日本に入国したときの年齢です。
例えば、10歳で来日し、現在19歳になっている方でも、この年齢条件は満たします。

⑤ 日本での就職先が決まっていること

日本の会社などへの就職が決まっている必要があります。
すでに働き始めている必要はなく、採用内定をもらっている状態でも構いません。

⑥ 住所の届出など、日本での公的な義務を守っていること

住所変更などの必要な届出をしていることや、法律に定められた義務を守っていることも条件になります。
以上の条件を満たす場合、「家族滞在」から「定住者」への変更を申請できます。

中学生や高校生になってから日本に来た場合は?

「日本の小学校を卒業していないから、定住者にはなれないの?」

そのような方には別の道があります。

日本の小学校を卒業していない方は、「特定活動」という在留資格に変更して働ける場合があります。

出入国在留管理庁では、主に以下の条件を満たす方を対象としています。

  • 日本の高校を卒業している、または卒業見込みであること
  • 日本への入国時に18歳未満だったこと
  • 入国後、引き続き「家族滞在」で在留していること(例外あり)
  • 日本での就職先が決まっていること
  • 扶養者である親などが、日本に在留し、身元保証人となること
  • 住所の届出など、公的義務を守っていること

高校に途中から編入した場合は日本語能力にも注意

例えば、16歳で来日し、日本の高校2年生に編入した方もいるでしょう。

このように、日本の高校に途中から編入した場合には、高校卒業に加えて、日本語能力試験N2程度の日本語能力が必要です。

証明資料としては、原則として次のいずれかが求められます。

  • 日本語能力試験(JLPT)N2以上
  • BJTビジネス日本語能力テスト400点以上

一方、日本の高校に1年生から通常入学した場合には、この制度においてN2取得が一律に必要とされているわけではありません。

なお、「特定活動」は、その人ごとに活動内容が指定される在留資格です。認められる仕事内容には制限がある場合もあるため、在留カードと指定書を確認する必要があります。

あなたはどのパターン?具体例で確認

日本に来た時期・学校の経歴考えられる在留資格
8歳で来日し、日本の小・中・高校を卒業、就職内定定住者
13歳で来日し、日本の中学校・高校を卒業、就職内定特定活動
16歳で来日し、高校に編入・卒業、N2取得、就職内定特定活動
18歳で初めて来日し、日本の高校を卒業今回紹介する特例制度の対象外

※いずれも、表に記載した内容以外の要件を満たしていることが前提です。

このように、同じ日本の高校を卒業した人でも、来日時期や日本での学校の経歴によって、申請できる在留資格が変わります。

「特定活動」から「定住者」に変更することもできる

高校卒業時に「定住者」へ直接変更できなくても、将来的に「定住者」へ変更できる制度があります。

出入国在留管理庁は、2024年に、この変更に関する要件を公表しました。

主な条件は次のとおりです。

  1. 日本の高校卒業以上の学歴があること
  2. 就労を目的とする「特定活動」または対象となる就労資格で、5年以上日本に在留していること(技能実習を除く)
  3. 就職先が決まっていること(内定を含む)
  4. 自分の収入などで安定した生活を維持できること
  5. 住所の届出、税金の納付など、公的義務を守っていること

なお、日本の大学や専門学校などに進学してから就職した場合は、一定の条件のもとで、その学校で学んだ期間も5年間に算入できる場合があります。

つまり、高校卒業後に「特定活動」で働き、一定の条件を満たしてから「定住者」へ変更するという道もあります。

ただし、5年間が経過しただけで自動的に「定住者」になるわけではなく、改めて在留資格変更許可申請を行い、審査を受ける必要があります。

「家族滞在」から「定住者」へ変更するときの必要書類

「定住者」への変更申請では、主に次の書類が必要です。

  • 在留資格変更許可申請書(T)
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 履歴書(日本の小学校・中学校の経歴を記載したもの)
  • 日本の小学校・中学校の卒業証書の写し、または卒業証明書
  • 高校の卒業証明書または卒業見込証明書
  • 雇用契約書、労働条件通知書、採用内定通知書など
  • 身元保証書
  • 世帯全員が記載された住民票(マイナンバーを省略したもの)
  • パスポート・在留カード(提示)

高校在学中に申請した場合は、在留資格変更の許可を受ける際に、高校を実際に卒業したことを証明する書類が必要になります。

また、「特定活動」を申請する場合には、申請書の様式が異なり、高校への入学日が分かる在学証明書や、必要に応じてN2などの証明書も求められます。

審査中に追加資料を求められることもありますので、余裕を持って準備を進めましょう。

よくある質問

Q
現在18歳以上ですが、「定住者」に変更できますか?
A

可能性があります。

今回の制度では、現在の年齢ではなく、日本に入国したときに18歳未満であったかどうかが重要です。

そのため、現在18歳、19歳、20歳以上であっても、その他の条件を満たしていれば変更の対象となり得ます。

Q
高校3年生で、まだ卒業していません。申請できますか?
A

はい。高校卒業見込みであれば、申請の対象となります。

ただし、変更許可を受ける際には、実際に卒業したことを証明する必要があります。

就職先が決まったら、早めに学校や保護者と相談して書類の準備を進めることをおすすめします。

Q
日本語能力試験N2に合格していないと「定住者」になれませんか?
A

日本の小学校、中学校、高校を卒業し、その他の条件も満たして直接「定住者」に変更する場合、N2合格は必須条件ではありません。

一方、高校に途中から編入した方が、今回紹介した「特定活動」を申請する場合には、N2相当の日本語能力の証明が必要です。

Q
就職先が決まっていなくても変更できますか?
A

今回紹介した高校卒業後の就労を目的とする制度では、就職先が決定していることが条件です。

そのため、原則として、まだ就職先が決まっていない段階では、この制度による変更はできません。

高校卒業後の就職を希望している場合は、在学中から就職活動を進めておくとよいでしょう。

Q
高校卒業後、大学や専門学校に進学する場合はどうなりますか?
A

今回紹介した制度は、主に高校卒業後に日本で就職する方を対象としたものです。

大学や専門学校へ進学する場合には、引き続き「家族滞在」で在留できるか、「留学」への変更が必要かなど、現在の在留状況や進学後の生活に応じた検討が必要です。

Q
変更申請中なら、週28時間を超えて働いてもいいですか?
A

いいえ。

変更申請を提出しただけでは、働ける範囲は変わりません。

現在の「家族滞在」で資格外活動許可を受けている場合でも、変更が許可される前に週28時間を超えて働くことはできません。

必ず、必要な在留資格への変更許可を受けてから働き始めるようにしてください。

まとめ|高校卒業後も日本で働く方法があります

日本の高校に通う外国籍の皆さんの中には、小さい頃から日本に住み、日本語で勉強し、日本で友達を作ってきた方も多いと思います。

そのような方が高校を卒業した後も日本で働き、生活を続けられるように、「定住者」や「特定活動」への変更制度が設けられています。

重要なのは、次の3点です。

① 日本に何歳で来たのか
② 日本の小学校・中学校・高校のどこを卒業したのか
③ 高校卒業後の就職先が決まっているか

この3点を確認することで、どの在留資格が考えられるかをある程度判断できます。

ただし、実際の審査では、これまでの在留状況、家族の状況、就職内容なども確認されます。

「自分が定住者に変更できるか分からない」
「高校卒業後も日本で働きたい」

このようなお悩みがある場合は、お早めに相談することをおすすめします。

とりかに国際行政書士法人では、外国籍の高校生やその保護者の方からの在留資格に関するご相談を受け付けています。

日本での学校の経歴、来日時期、就職先の状況などを確認し、申請可能な在留資格や必要な手続きについてご案内いたします。

神奈川県川崎市・武蔵小杉に事務所を構え、外国人の在留資格申請を取り扱っています。

参考資料

宍戸

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