「新しいパスポートや在留カードをもらったから、古いものはもう捨ててもいいですよね?」
このように考えている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、古いパスポートや、無効化されて返却された古い在留カード(穴が開いているもの)は、できる限り捨てずに保管しておくことをおすすめします。
普段の生活では使わなくなった書類でも、将来必要になることがあるためです。今回は、古い在留カードやパスポートをどのような場面で使用する可能性があるのかについて解説します。
古い在留カードは捨ててもいい?
まず注意していただきたいのが、古い在留カードには「返納」が必要であるという点です。
出入国在留管理庁によると、新しい在留カードの交付を受けたときには、古い在留カードは失効し、直ちに返納する必要があります。(参照)
また、日本での在留を終えて再入国許可を受けずに出国する場合などにも、在留カードを返納します。出国時に返納した在留カードについては、カードに穴を開けて無効なものとしたうえで、本人に返却されると出入国在留管理庁のFAQで案内されています。(出入国在留管理局Q&A:Q73)
いずれにせよ、古い在留カードは一度は入国管理局に返納する必要があるということです。
この記事でいう「古い在留カード」とは、必要な返納手続を行ったうえで、穴を開けるなどして無効化され、本人の手元に返却された旧在留カードのことを指します。
その点をご理解いただいたうえで、ここからは、古い在留カードが実際にどのような場面で役立つのかを見ていきましょう。
1.在留資格の申請で過去の情報を確認するとき
在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請、永住許可申請などを行う際には、過去の在留状況を確認することがあります。
例えば、
- 過去の在留資格
- 過去に許可されていた在留期間
- 以前の在留カード番号
- 当時の住所や在留状況
などを確認したい場合です。何年も日本に住んでいる方の場合、自分の過去の在留資格や在留期間を正確に覚えていないことも珍しくありません。
そのようなとき、過去の在留カードを保管しておけば、申請書類を作成する際の確認資料として役立ちます。
2.銀行などの手続で必要になることがある
銀行などの金融機関で本人確認や在留状況の確認を行う際、現在の在留カードだけではなく、以前の在留カードについて確認を求められるケースがあります。
必ず必要になるわけではありませんが、過去から現在までの在留状況を説明する必要が生じた際、旧在留カードを持っているとスムーズです。
3.海外でのビザ申請などに使うことがある
日本に住んでいる外国人の方が、本国以外の国へ旅行したり、海外のビザを申請したりする場合、日本での過去の在留状況を確認されることがあります。
申請する国やビザの種類によって必要書類は異なりますが、過去の日本での在留状況を証明・説明する資料として、以前の在留カードを求められることがあるのです。
そのため、海外旅行や海外ビザ申請をする可能性がある方も、古い在留カードは保管しておいた方が安心です。
古いパスポートは捨ててもいい?
古いパスポートについても、基本的には捨てずに保管しておくことをおすすめします。
特に、日本で長期間生活している外国人の方にとって、過去のパスポートは重要な資料になることがあります。
1.過去の入出国歴を確認できる
古いパスポートには、過去の出入国スタンプや査証(ビザ)などが残っていることがあります。在留資格の申請や永住申請などでは、
「いつ日本から出国したのか」
「どのくらい海外に滞在していたのか」
といった過去の出入国状況を確認することがあります。
現在は顔認証ゲートなどの利用によってパスポートに出入国スタンプが残らないケースも増えていますが、古いパスポートが過去の渡航歴を確認する重要な資料になることがあります。
2.帰化申請では特に重要
古いパスポートが特に重要になる手続の一つが、日本への帰化申請です。
例えば東京法務局では、中国国籍の方の帰化申請について、有効期限が切れたものを含め、すべてのパスポートの写しが必要と案内しています。(東京法務局:帰化許可申請書に添付する書類)
さらに、未使用ページを除き、出入国印などがある使用済みページについても提出するよう案内されています。そのため、
「新しいパスポートが発行されたから、古いものは必要ない」
と考えて捨ててしまうと、将来帰化申請をするときに困ってしまう可能性があります。日本への帰化を少しでも考えている方は、古いパスポートをできる限りすべて保管しておくことをおすすめします。
古いパスポートや在留カードを捨ててしまった場合は?
すでに捨ててしまった方もいると思います。その場合は、無理に取り繕ったりすることもできませんので「すでに処分してしまったため、現在は手元にありません」
と正直に説明しましょう。
書類がないからといって、直ちに在留資格申請や永住申請、帰化申請ができなくなるわけではありません。必要に応じて、他の資料を利用して過去の状況を確認していくことになります。
出入国在留管理庁へ入出国記録の開示請求もできる
古いパスポートがなく、
「昔いつ日本から出国したのか分からない」
「これまでの入出国履歴を正確に確認したい」
という場合には、出入国在留管理庁に対して出入(帰)国記録の開示請求をする方法があります。
外国人の出入国記録については、原則として1970年11月1日以降から請求日現在までの記録が開示請求の対象となっています。特に永住申請や帰化申請など、過去の日本からの出国期間を正確に確認する必要がある場合には有効な方法です。
ただし、開示請求には時間がかかる場合がありますので、申請を予定している方は余裕を持って準備することをおすすめします。
ちなみに私たち事務所でも、このお手伝いは可能です。
まとめ|古いパスポート・在留カードはできるだけ保管しましょう
新しいパスポートや在留カードが交付されると、「もう古いものは必要ないだろう」と思ってしまいがちです。
しかし、古いパスポートや、返納・無効化された旧在留カードには、その人がこれまで日本で生活してきた記録が残っています。在留資格申請、永住申請、帰化申請、銀行手続、海外でのビザ申請など、思わぬ場面で役立つことがあります。
特に古いパスポートについては、帰化申請などで過去に所持していたものまで確認されることがあるため、できる限り処分しないことをおすすめします。
そしてもう一つ。古いパスポートや在留カードは、単なる行政手続のための書類ではありません。見方を変えれば、日本に来た頃の自分や、これまで日本で生活してきた時間が残っている「思い出の記録」でもあります。
保管しておいて困るものではありませんので、新しいパスポートや在留カードを受け取ったあとも、大切に保管しておいてはいかがでしょうか。
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