「技人国ビザで採用した社員に、まず店舗や現場を経験させたい」。
ホテル、飲食、アパレル、小売などではよくある採用計画です。
接客・販売・工場作業などは、通常、それ自体が技人国に該当する専門業務とはいえません。
しかし、一定の条件を満たす採用当初の実務研修であれば、技人国の活動として許容されることがあります。大切なのはその必要性、期間、全体のキャリア計画です。
原則的には専門業務が主な活動であるべき
原則的な考えとして、実務研修期間も学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門業務に従事させるべきです。
ただ、接客、レジ、品出し、梱包、製造ラインなどを行う計画でも、在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めるようなものではないようなときは許可の可能性はあります。
実務研修が認められるかを考える際には、次の点が重要になります。
将来の専門業務に必要な研修であること
現場研修が、後に担当する専門業務を理解するために必要という場合は、許可の可能性があります。たとえば、海外展開を担当する社員が、商品・接客・店舗運営を理解するために短期間の店舗研修を受けることには合理性を説明できる場合があります。
日本人社員にも同様に実施されること
外国人だけを長期に店舗へ配置するような計画は、研修の実態がないと見られやすくなります。日本人の大卒社員・総合職社員においても同様の研修があるか、期間や内容に不合理な差がないかが重要です。
期間が必要最小限であること
研修が在留期間中の大半を占めるような計画は認められにくいとされています。入社後1年を超える研修を予定する場合には、研修計画の提出を求められ、期間の合理性が審査されます。
たとえば、3年契約で更新予定もないのに、最初の2年間を実地研修に充てる計画では、専門業務への移行が不十分と判断されるおそれがあります。
研修後の職務が明確であること
「将来は本社勤務の予定です」では足りません。研修後に、どの部署で、いつから、どのような専門業務を担当するのかを示すことが重要です。職務内容、研修スケジュール、キャリアステップを文書にしましょう。
ホテル・小売・飲食店での例
ホテルでは、外国語によるフロント対応、外国人客の要望対応、宿泊プランの企画、海外向け広報・マーケティングなどは、内容によって技人国に該当し得ます。採用直後に短期間のフロント・レストラン研修を行い、その後に上記の専門業務へ移る計画は、合理性を説明できる場合があります。
ただし、荷物運びや配膳などを一時的・付随的に行う場面があることと、それらが主な業務になることは別です。実際の勤務が専門業務から外れていれば、更新時に問題となる可能性大です。
会社が準備するべき資料
研修を含む申請では、通常の申請資料に加えて次のような資料を用意しておいた方が良いでしょう。
- 入社後の研修計画(期間、場所、内容、指導者)
- 研修後の配属先と具体的な職務内容
- 日本人社員を含む同様のキャリアステップ
- 組織図と配属予定部署の業務説明
- 現在雇用している外国人専門職の勤務状況(求められた場合)
制度を正しく利用するためには、申請書類と実際の勤務内容を一致させる必要があります。「とりあえず現場で働いてもらい、後から専門職へ移す」という運用は、申請でも更新でも大きなリスクになります。採用前に、研修と配属後の仕事を具体的に設計しておきましょう。

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