2026年6月15日から、日本で暮らす外国人向けに新たな制度である「特定在留カード」が始まりました。

これは在留カードとマイナンバーカードを一体化した新しいカードであり、今後の外国人行政において大きな転換点になる制度です。

しかし、

「在留カードはなくなるの?」

「今持っている在留カードは使えなくなる?」

「特定在留カードにした方がいい?」

「会社は何か対応が必要?」

など、多くの外国人や受入企業が疑問を持っています。

この記事では、特定在留カードの制度概要から従来の在留カードとの違い、メリット・デメリット、申請方法、企業が知っておくべきポイントまで詳しく解説します。

特定在留カードとは?

特定在留カードとは、

在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化したカード

です。

正式には、改正入管法およびマイナンバー法に基づき導入された制度で、2026年6月15日から運用が開始されました。

これまで外国人は、

  • 在留カード
  • マイナンバーカード

を別々に持つ必要がありました。

しかし特定在留カードでは、1枚のカードで両方の役割を果たすことができます。

制度が創設された背景

政府は近年、

  • 行政手続のデジタル化
  • マイナンバーカードの普及
  • 在留外国人の利便性向上

を進めています。

従来は、

①入管で在留資格更新

②市区町村でマイナンバーカード更新

という二重の手続が必要でした。

例えば特定技能外国人が在留期間を更新した場合、

  • 出入国在留管理局
  • 市区町村役場

の両方へ行かなければならないケースがありました。

特定在留カードは、このような手続負担を軽減するために導入されました。

特定在留カードの対象者

対象となるのは、

住民基本台帳に記録されている中長期在留者

です。

具体的には次のような在留資格を持つ外国人が対象となります。

就労ビザ

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 技能
  • 企業内転勤
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 特定技能   など

身分系ビザ

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者  など

その他

  • 留学
  • 家族滞在
  • 文化活動   など

特別永住者はどうなる?

特別永住者については、

「特定特別永住者証明書」

という別制度が用意されています。

したがって特別永住者証明書がそのまま特定在留カードになるわけではありません。

特定在留カードと従来の在留カードの違い

最も気になるポイントがここです。

比較表

項目在留カード特定在留カード
在留資格証明
マイナンバー機能×
電子証明書×
マイナポータル利用×
コンビニ証明書取得×
マイナ保険証利用×
カード枚数2枚必要1枚で完結
在留更新後の市役所手続必要な場合あり不要
常時携帯義務
取得義務あり任意

つまり、

在留カード+マイナンバーカード=特定在留カード

と考えると分かりやすいでしょう。

特定在留カードのメリット

① カードが1枚になる

最大のメリットです。

これまでは

  • 在留カード
  • マイナンバーカード

を別々に管理する必要があり、紛失リスクも2倍でした。特定在留カードでは1枚で済みます。

② 行政手続が簡単になる

従来は、在留期間更新後に

  • 市区町村窓口
  • マイナンバーカード担当窓口

へ行く必要がありました。特定在留カードでは情報連携により更新手続が簡略化されます。

③ マイナポータルが利用できる

特定在留カードを取得すると、マイナポータルを通じて

  • 行政手続
  • 税情報確認
  • 年金情報確認
  • 各種証明書取得     などが利用できます。

④ 健康保険証として利用できる

現在、日本では健康保険証のマイナ保険証化が進んでいます。

特定在留カードも保険証として利用できます。

⑤ オンライン行政サービスが使いやすくなる

外国人も日本人と同様に、電子証明書を利用したオンライン申請が可能になります。

特定在留カードのデメリット

① 紛失時の影響が大きい

1枚に集約されるため、紛失すると

  • 在留カード
  • マイナンバーカード

を同時に失うことになります。再発行手続も複雑になりますので、

在留カードは義務だから持ち歩いてるけど、マイナンバーカードは持ち歩くのが心配・・。

という方は、特定在留カードは作らない方がいいかもしれません。

② 即日交付ではない

通常の在留カードのように当日交付されません。発行まで一定期間かかります。

そのため急ぎの場面では注意が必要です。

③ オンライン申請ができない

制度開始時点では窓口申請が原則となっています。

今の在留カードは使えなくなるの?

結論から言うと、使えなくなりません。特定在留カードは任意取得です。

従来の

  • 在留カード
  • マイナンバーカード

を別々に持ち続けることもできます。そのため現在在留カードを持っている外国人が慌てて切り替える必要はありません。

企業が知っておくべきポイント

在留カード確認義務は変わらない

企業は外国人採用時に【在留資格】【就労制限】【在留期間】を確認する必要があります。

特定在留カードになってもこの義務は変わりません。

コピー取得時の注意

従来は在留カードのコピーを保管していた企業も多いでしょう。

今後はマイナンバー情報を含む可能性があるため、取り扱いに注意が必要です。

個人情報保護の観点から管理体制を見直す必要があります。

登録支援機関も制度理解が必要

特定技能外国人への支援を行う登録支援機関は、生活オリエンテーションの中で

  • 特定在留カードとは何か
  • 紛失時の対応
  • マイナ保険証の使い方

などを説明できるようにしておく必要があります。

よくある質問(Q&A)

Q. 特定在留カードは必ず取得しなければなりませんか?

いいえ。任意取得です。

Q. 今持っている在留カードは無効になりますか?

なりません。そのまま利用できます。

Q. マイナンバーカードを持っていなくても取得できますか?

取得手続の中でマイナンバー機能を搭載するため、一定の要件があります。

詳細は市区町村や入管の案内を確認しましょう。

Q. 特定技能外国人も取得できますか?

取得できます。

Q. 紛失したらどうなりますか?

速やかに関係機関へ届け出る必要があります。再交付手続が必要になります。

まとめ

特定在留カードは、在留カードとマイナンバーカードを一体化した新しい制度です。これまで2枚必要だったカードを1枚にまとめることで、外国人本人の利便性向上や行政手続の簡素化が期待されています。

一方で、紛失時のリスクや個人情報管理の問題など注意点もあります。

特定技能外国人を受け入れる企業や登録支援機関、行政書士にとっても今後重要な制度となるため、早い段階で内容を理解しておくことが大切です。