Rさん

こんにちは。
日本人と結婚して日本に住み、20年以上が経ちました。
母国の両親も亡くなってしまったし、兄弟とも疎遠なので、永住権ではなく、帰化申請を検討するようになりました。
どんな要件があるんでしょうか?

植田

では順を追って解説をしていきましょう!

帰化とは?

帰化とは、外国籍の人が日本国籍を取得すること。毎年多くの人が帰化申請をしています。在留資格ではなく、国籍自体を変更して、「日本人になる」手続きを指します。

帰化には大きく分けて3つの種類・・・【普通帰化】、【簡易帰化】、【大帰化】があります。

普通帰化とは?

国籍法第5条に規定されている普通帰化は、原則どおりに国籍法に規定されている7つの帰化要件をすべて満たさなくてはいけない通常通りの帰化申請をいいます。

普通帰化の対象者

簡易帰化に該当しない適正に日本に在留する一般的な外国人

普通帰化の要件

帰化の7つの要件

  1. 住居要件・・・引き続き5年以上日本に住所を有すること
  2. 能力要件・・・20歳以上で本国法によって能力を有すること
  3. 素行要件・・・素行が善良であること
  4. 生計要件・・・自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること
  5. 喪失要件・・・国籍を有せず、または日本の国籍の取得によって元の国籍を失うべきこと
  6. 思想要件・・・日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと(以上国籍法第五条)
  7. 日本語要件・・・日本語の読み書きができること

簡易帰化とは?

国籍法第6~8条に規定されている簡易帰化。

簡易帰化の特徴は、通常の帰化の要件よりも緩和されているところにあります。

簡易帰化の対象者

  • 日本人と結婚している外国人
  • 日本人の子供
  • 日本で生まれ育ったもの
  • 元日本人
  • 特別永住者

などが当てはまります。

簡易帰化の要件

簡易帰化の要件は、申請者の状況により異なります。

大帰化とは?

国籍法第9条に規定されている大帰化。

今まで解説してきた帰化の要件はおいておいて、日本に対する功労があった外国人に、国会の承認を得て、法務大臣が帰化を許可する流れで付与される特別な帰化のこと。

今のところ前例はありません。

帰化のメリット・デメリット

ここでは「普通帰化」について解説していこうと思います。

帰化のメリット

日本国籍を取得できる!ということは・・・

  1. 戸籍が新たに編成され、配偶者や子が日本人場合は、家族全員が同じ戸籍に入れられます。
  2. 通称名の使用ではなく、本名として日本名を取得できます。
  3. 在留資格の更新も要らなくなります。
  4. 入学や結婚や離婚時は役所に行くだけ(日本人と同様の手続き)で済む。
  5. 国家公務員になれる。
  6. 選挙権が得られる。
  7. 就職や借り入れ金審査時に国籍が不利にならない。
  8. 信用度が高いとされる「日本のパスポート」が取得可能。(ビザなしで多くの国に渡航しやすくなる)

帰化のデメリット

日本は二重国籍を認めていない!ということは・・・

  1. 帰化すると母国の国籍を失います。
  2. 母国では外国人として扱われます。(母国で参政権を失ったり、社会保障を受けられないなどが考えられます。)


国籍を戻す作業は大変で、無理な場合もあります。本当に日本国籍で生活したいのか、よく考えることが必要です。頻繁に母国に帰る予定がある人は一層慎重に考えるべきです。

永住権との違い

お問合せでもたまに間違った認識のままでお話をされていることの多い、帰化と永住の違い。ここでは、帰化と永住の違いをまとめてみました。

植田

強制退去処分や再入国申請の必要性などは、「日本国籍」と「外国籍」の違いがはっきりと見える部分ですね。

帰化永住
申請先法務局入管
国籍日本国籍になる(日本人になる)母国のまま(外国人のまま)
職業選択時の制限なしなし
在留資格なし「永住者」
戸籍ありなし
年金加入義務ありあり
選挙権ありなし
強制退去処分なしあり
再入国の手続きなしあり
在留期限・更新なしあり(7年ごと)
申請要件の最長の在留期間の年数なし3年
居住要件継続して5年居住が必要(その「永住者」
就労が3年)
継続して10年居住が必要(そのうち就労が5年)
能力要件18歳以上・行為能力を有する
※緩和されるケースあり
なし
素行要件ありあり(帰化より厳しく審査される)
喪失要件(母国の国籍を失う)ありなし
生計要件ありあり
思想要件あり明文されてはいないが、国益適合要件として審査される可能性
日本語能力要件ありなし


植田

不安があればまず相談をすることをお勧めします!
ぜひとりかに行政書士事務所へご相談ください!