
飲食店を7店舗経営している会社の人事部で働いています。
なかなか日本人従業員が集まらなくて・・・
現場からは「とくていぎのう」を採用してみたらどうか?
という声があるんです

なるほど。
いいと思います!

でも「とくていぎのう」って実際何なのかわからなくて・・・。
「技人国」「技能」「技能実習」「特定活動」とかっていう在留資格もあるんですよね?
違いが分からなくて・・・。

お任せください!
ご説明します!
そもそも外国人の在留資格とは?
外国人(日本の国籍を持っていない人)は、基本的に
- 理由
- 計画
がない状態で日本に在留することは基本的にできない仕組みになっています。※二重国籍者は日本の国籍を持っているので日本人と同様の取り扱いがなされます。
例えば、「日本で会社を立てて経営したい!」「日本で就職先を見つけて働きたい!」「日本人と結婚したから日本で一緒に住みたい!」という「理由」はあってもそれだけではいけません。
「実際に経営する会社や店舗」「実際に働く会社との雇用契約」「実際に婚姻関係のある配偶者の存在や夫婦生活を送る場所」など「計画」が立っており、それが実体のあるものでないといけないのです。
そして、その理由や予定に適合した在留資格の申請をして入国管理局の審査を経て、許可を受けると在留資格を持った外国人として認定され、日本での活動を行えるようになります。
特定技能とはどんな在留資格か
このように、結婚している人で配偶者ビザの要件を満たしている場合は「配偶者ビザ」、日本で経営を計画していて経営する会社の実態も客観的に示すことが出来るなら「経営者ビザ」など、実態に合った在留資格にしなくてはいけません。
では、特定技能という在留資格はどのような人たちが取得できる、どのような在留資格なのでしょうか?
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
---|---|---|
概要 | 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 | 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 |
この在留資格が創設された目的 | 日本の各産業における人手不足の解消 | 日本の各産業における人手不足の解消 |
在留期間 | 1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について 指定する期間ごとの更新(通算で上限5年まで) | 3年、1年又は6か月ごとの更新(更新回数に制限なし) |
家族滞在の可否 | 基本的に認めない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
技能水準 | 試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) | 試験等で確認 |
日本語能力 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 (技能実習2号を修了した外国人は試験免除) | 試験等での確認は不要 |
支援の有無 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外 |
このように特定技能は、⑴一定の日本語のレベル⑵各産業の技能試験に受かった外国人が受け入れ企業(就職した会社)の内定をもらって初めて取得できる在留資格なのです。
そして「特定産業分野」とは以下の16種類の産業のことです。

技能実習との違い

でも技能実習との違いは何かあるんですか?
技能実習 | 特定技能 | |
---|---|---|
制度の目的 | 技能や知識などを母国に持ち帰って自国の発展に寄与すること | 日本国内の各人手不足の産業の人材確保のため |
根拠となる法令 | 「技能実習法」 | 「出入国管理及び難民認定法」 |
人材の技能レベル | 問わない(実習を経て習得していくことが目的のため) | 特定技能試験と日本語試験に合格していることが条件のため、就労には一定の技能を持っていることが前提 |
行政手続き | 在留資格審査 技能実習計画を提出 | 在留資格審査 支援計画 |
在留期間 | 1号:1年 2号:2年 3号:2年 通算5年 | 特定技能1号:通算5年 特定技能2号:制限なし |
採用方法 | 監理団体・送り出し機関からの紹介 | 自社で求人を出したり、登録支援機関や人材紹介会社に委託し、人材を探してもらう |
受け入れ可能人数 | 1号:常勤職員の総数 2号:常勤職員の総数の2倍 3号:常勤職員の総数の3倍 | 無制限だが、一部制限あり |
家族帯同の可否 | 不可 | 1号は不可 2号は一部可 |
このように、技能実習は「勉強が目的の人」が「実習を経て知識・技能」を習得するための在留資格です。そのため技能実習で知識や技能を習得し、良好な状態で実習を修了した外国人は「特定活動」に移行することが出来ます。
他の就労系の在留資格との違い

「技能」「技人国」という在留資格もあるんですよね。
同じく「技」とついてますが、どんな違いがあるんでしょうか?
技能 | 技・人・国 | |
---|---|---|
根拠となる法令 | 「出入国管理及び難民認定法」 | 「出入国管理及び難民認定法」 |
人材の技能レベル | 主に実務経験 | 実務経験・学歴 |
行政手続き | 在留資格審査 | 在留資格審査 |
在留期間 | 5年 3年 1年 3か月 (更新限度はない) | 5年 3年 1年 3か月 (更新限度はない) |
採用方法 | 監理団体・送り出し機関・登録支援機関などのサポートは不要 自社で求人を出し日本人と同様の手続きで雇用関係締結 | 監理団体・送り出し機関・登録支援機関などのサポートは不要 自社で求人を出し日本人と同様の手続きで雇用関係締結 |
対応可能な作業内容 | 在留資格該当性のある業務 (ワイン鑑定士・外国料理のシェフ・外国特有の建築物の建築など、日本人より高度な技術や外国特有の文化の産業における技能が必要な作業) | 在留資格該当性のある業務 (経理・金融・総合職・コンサルタントなどの専門職 翻訳・語学の指導など外国文化に基盤を有する思考、感受性の必要な業務) |
家族帯同の可否 | 可能 | 可能 |
技能は「中華料理店のシェフ」や「ゾウなど動物の調教師」、「ワイン鑑定」などの外国特有、外国に本場のある専門的な仕事が該当します。
技人国は「技術、人文知識、国際業務」の3類型を1つにまとめたもので、話すと長くなるのでここでは割愛します。
特定活動との違い

「特定活動」という在留資格もあるんですよね。
同じく「特定」とついてますが、どんな違いがあるんでしょうか?
特定技能と特定活動は、全く異なる在留資格です。
特定技能は一つの枠にとらわれず、法務大臣が個々に認める在留資格です。具体的な例を挙げるとワーホリ、インターンシップ、留学生の就職活動、EPA看護師、外国人家事労働者などが該当します。
特定技能外国人を採用・雇用するメリット
- 人手不足の解消 ・・・慢性的な人材不足を補える
- 即戦力の確保・・・ 技能試験・日本語試験に合格した人材
- 長期雇用が可能・・・1号は5年まで在留可能・特定技能2号なら無期限&家族帯同OKな
- インバウンドに備える、海外進出に備える・・・特定技能の外国人の多くは母国語以外に英語を話すことが出来るので、英語話者の顧客層を逃さなくて済む

店舗に英語が話せる人がいる!これは非常に大きなメリットですね!

もちろんデメリットもありますよ!
特定技能外国人を採用・雇用するデメリット
- 支援費用・手間が掛かる・・・特定技能は法律に基づき、10の義務的支援が不可欠です。そのため、支援を自社で行えない場合は、登録支援機関への委託が不可欠です。
- コストがかかる ・・・上記の登録支援機関への委託料のほか、渡航費などを負担する場合もあります。
- アイデンティティの尊重は不可欠・・・信仰に基づいた習慣やルールなどを尊重してあげなくてはいけません。
- 在留資格が下りない可能性・・・申請すればだれでも通るわけではないのが在留資格です。内定が出たとしても在留資格を得ることがなければ就労することが出来ません。
- 出国許可が下りない可能性・・・在留資格を得たとしても、母国の情勢が不安定な場合や、兵役を終わらせないと出国できない国もあります。

なるほど・・・。負担も結構ありそうですね。
この登録支援機関とは何なのでしょうか?
登録支援機関とは
登録支援機関とは、社内で以下の10個の義務的支援が行えない場合に支援業務を委託する先になります。
10の義務的支援とは
- 事前ガイダンス・・・雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明
- 出入国する際の送迎・・・入国時に空港等と事業所又は住居への送迎・帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
- 住居確保・生活に必要な契約支援・・・連帯保証人になる・社宅を提供する等・銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助
- 生活オリエンテーション・・・円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
- 公的手続等への同行・・・必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
- 日本語学習の機会の提供・・・日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
- 相談・苦情への対応・・・職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等
- 日本人との交流促進・・・自治会等の地域住民との交流の場、地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等
- 転職支援(人員整理等の場合)・・・受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
- 定期的な面談・行政機関への通報・・・支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報

特定技能は提出の必要な書類も多くあり、制度も複雑です。
ぜひとりかに行政書士事務所へご相談ください!