宍戸

こんにちは、宍戸です。

今回は、「永住権を申請するためには、どのくらい日本に住んでいなければならないのか」について、わかりやすく解説します。

初めに

まず大前提として、永住権を申請するには、日本国内に一定期間滞在している必要があります。

たとえば、

ヴィクトリアさん

日本人のパートナーと結婚して20年。これまでイギリスに住んでいましたが、日本の永住権を申請したいです!

というような場合、日本人とかなり長い婚姻期間があるため、なんだか永住権を申請できそうな雰囲気がありますよね。

でも実はこのケースでは、日本国内に居住していないため永住権を申請することはできません。

永住権は「日本に暮らしている人」が申請できるのです。
日本に永く暮らす権利を申請するのですから、姿勢として当たり前と言えば当たり前ですが。

必要な日本滞在期間

それでは次に、永住権を取得するために必要な日本滞在期間を見ていきましょう。

基本 ― 10年(うち5年は就労が必要)

法務省の「永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)」では、次のように定められています。

原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。
ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く)または居住資格をもって、引き続き5年以上在留していることを要する。

法務省の「永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)」より参照

永住権を取得するためには、基本的に10年以上日本に滞在し、そのうち直近5年は就労資格または居住資格で在留している必要があります。ということですね。

もっと誰でもわかるように箇条書きでまとめると以下の通りです。

永住権申請には…

①日本に 10年以上 滞在している必要がある
②そのうち 直近5年間は就労している必要がある
③「技能実習」および「特定技能1号」の期間は就労期間に含まれない
④「居住資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)」として滞在していた期間も5年の就労期間としてカウントできる

なお、「家族滞在」や「留学ビザ」でのアルバイトは就労期間には含まれません。

まだ、よくわからないという方もいるかもしれません。例で見てみましょう。

【例1】

Aさん

2年間:日本語学校で学ぶ
4年間:大学通学
4年間:その後、技人国ビザで就職

就労期間が1年足りないため不可

【例2】

Bさん

8年間:技人国ビザで勤務
1年間:日本語学校に通学
1年間:再び就職し技人国ビザで勤務

直近5年のうち1年就労していないため不可

【例3】

Cさん

2年間:日本語学校で学ぶ
6年間:技人国ビザで勤務
2年間:日本人と結婚し配偶者ビザに変更

直近5年のうち3年が就労、2年が居住資格での滞在のため可

原則10年に関する特例(短縮される場合)


ただし、全ての場合において永住権申請のために10年の滞在期間が必要なわけではありません。以下、それぞれ特例をご紹介します。

1年で申請できる場合(その1)

①日本人、永住者、特別永住者、いずれかの配偶者で

②婚姻期間が3年以上

上記の条件全てを満たすと、日本滞在後1年で永住権の申請が可能です。

たとえば、冒頭の

ヴィクトリアさん

日本人のパートナーと結婚して20年。これまでイギリスに住んでいましたが、日本の永住権を申請したいです!

という方も、実は日本に移住して1年経過すれば永住権を申請可能です。

また、お二人の間にお子様(特別養子を含む)がいる場合、そのお子様も日本移住後1年で永住権を申請できます。

レアケースではありますが
①在留特別許可…本国へ強制送還されるような事案に該当した人が、特別に許可を受けて日本にいる場合
②上陸特別許可…日本に入国できない事由に該当していたが、特別に許可を受けて日本にいる場合

上記のような場合、たとえ日本人や永住者と結婚したとしても、日本滞在1年で永住権を申請することはできません。原則3年以上の在留歴が求められます。

1年で申請できる場合(その2)

①高度専門職ポイント表で80ポイント以上を獲得し、高度専門職ビザをもって日本に滞在して1年が経過した方

②すでに日本に滞在しており、1年前に高度専門職ポイントを80ポイント以上を有していたことを証明できる方

3年で申請できる場合

①高度専門職ポイント表で70ポイント以上を獲得し、高度専門職ビザをもって日本に滞在して3年が経過した方

②すでに日本に滞在しており、3年前に高度専門職ポイントを70ポイント以上を有していたことを証明できる方

5年で申請できる場合

定住者ビザを持つ方は、日本滞在から5年で永住権を申請できます。
(例:配偶者ビザ → 離婚 → 定住者ビザの場合、両方の期間を合算して5年以上あれば可)

まとめ

永住権申請には多くの条件がありますが、今回はその中でも最も基本的な「日本での在留期間」について解説しました。
申請を検討している方は、自身の在留歴を整理し、条件を満たしているか確認してみてください。

引き続き、とりかに行政書士事務所をよろしくお願いいたします。

理解度チェッククイズ

Q
基本的に永住権申請をするためには、日本に何年滞在する必要があるか。
Q
日本人、永住者、特別永住者、いずれかの配偶者はどのような条件を満たせば永住権を申請できるか。
Q
技人国ビザで日本に滞在している外国人の方が、高度専門職ポイント表で自分のポイントを計算したところ、1年以上前から既に80ポイントを超えていることが分かった。この外国人の方が永住権を申請するためには、あとどのくらいの滞在期間が必要か。
Q
高度専門職ポイントで70点以上を獲得し、日本滞在を始めた方がいた場合、この人は何年日本に滞在することで永住権申請できるか。
Q
定住者ビザ所持者は、何年で永住権を申請できるか