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はじめに
外国人留学生を新卒社員として採用したい企業は年々増加しています。特に中国・ベトナム・ネパール・韓国などアジア圏の留学生は、語学力と適応力を兼ね備えた即戦力人材として注目されています。
ただし、「留学」ビザのままでは就労できないため、「技術・人文知識・国際業務」ビザ(以下:技人国)への変更申請が必要です。
内定が出たとしても、在留資格の変更がなされなければ就労できないので、注意が必要です。
技人国ビザとは?
対象職種
- 営業、経理、企画、マーケティング、貿易、IT、翻訳・通訳、語学教師など
必要要件
- 大学・大学院・専門学校(専門士)の卒業者(若しくは10年以上の証明できる実務経験)
- 学歴と職務内容に関連性があること
- 日本人と同等の給与水準
留学生を雇用するための条件
項目 | 条件 |
---|---|
卒業要件 | 大学・大学院・専門学校(専門士)の課程修了 |
業務内容 | 専門知識に基づいた業務(単純作業不可) |
雇用形態 | 原則フルタイムの正社員 |
給与 | 日本人と同等以上(地域・職種に応じた金額) |
日本語能力 | 実務に支障がないレベル(N2〜N1が目安) |
採用までのステップと必要書類
【ステップ1】 在学中に内定
卒業見込者に対して内定を出し、契約条件を提示
【ステップ2】 卒業証明書の取得
申請には卒業証明書(または修了証)が必要
【ステップ3】 在留資格変更許可申請(入管)
書類一式を整えて、出入国在留管理局に提出
【必要書類】
企業側
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 会社案内・登記事項証明書・決算書(直近1〜2期)
- 職務内容説明書
- 採用理由書
外国人側
- 卒業証明書、成績証明書
- 履歴書・パスポート・在留カード
在留資格変更申請のポイント
- 職務内容が学歴と明確に結びついているかを説明する
- 「営業」や「企画」などは抽象的になりやすいため、業務内容を具体的に記述
- 勤務条件(給与・勤務時間・休日など)が法令を満たしていることを確認
- 書類の矛盾や不備があると審査が長期化・不許可となる可能性あり
よくある不許可事例とその対策
ケース | 問題点 | 対策 |
---|---|---|
文系学部卒でエンジニア職 | 学歴と職務内容が一致しない | 研修制度・補完的知識の有無を説明する |
契約書と実態が異なる | 条件記載に不整合 | 実態と一致した契約書を提出する |
単純作業が含まれている | 資格該当性に欠ける | 主業務が専門性ある職務であることを強調 |
採用後の定着支援ポイント
入社オリエンテーションにて、社内ルールや文化をわかりやすく説明
- 勤務時間、服装、報連相の方法、休暇取得のルールなど、「日本の職場の常識」を視覚資料ややさしい日本語で説明
- パワーポイント、動画、ピクトグラムなどを活用するとより効果的
国人向けの相談窓口やメンター制度の導入
- 人事部門に加え、母語対応できる社員や定期的に話を聞く相談役を設定
- 先輩社員がメンターとして業務や生活面をサポートすることで定着率アップ
日本語での報連相を支援する「やさしい日本語」研修
- 社内連絡で使われる用語や伝え方を、「簡単な日本語」「図解」を通じてトレーニング
- 例:報告=いつ、なにが、どうなったかを順序立てて話す練習
長期的なキャリア形成についての話し合い
- 3ヶ月後、半年後、1年後などの定期面談を通じて、キャリアパスや今後の目標を共有
- 本人の希望と会社の期待のすり合わせを行い、モチベーションの維持を図る
とりかに行政書士事務所のサポート
- 在留資格変更許可申請の代理申請
- 雇用条件・職務内容の妥当性チェック
- 採用理由書・職務内容説明書の作成支援
- 留学生本人との中国語・ベトナム語での面談支援
- 雇用後の定着支援・社内体制整備アドバイス
留学生を正社員として迎えることは、企業のグローバル化と未来の成長に直結します。 制度を正しく理解し、計画的な受入れとサポート体制を整えることが成功のカギです。