国益適合要件とはどんな要件なのか
申請者である外国人の永住が「日本の国益になる」と認められること。
「外国人の永住が国益を反しない」という消極的な考え方だけではなく「積極的具体的に国益になるものである」ことが必要です。「日本の国益になる」と認められるには、以下の要件を満たしていることが必要です。
国益適合要件
- 原則として10年以上日本に在留していること。そしてこの10年の間のうち5年以上の期間、継続して一定の在留資格を持って日本に滞在していること。
- 公的義務を果していること
- 最長の在留期間を認められていること
- 公衆衛生上の観点から有害となる恐れがない事 ←イマココ
- 公益を害する恐れがない事
今回は永住許可に必要な要件である「国益適合要件」のうち上記の
4番【公衆衛生上の観点から有害となる恐れがない事】を解説していきます。
なんだか難しそうですね・・・
公衆衛生上の観点から有害となる恐れとは
公衆衛生上の観点から有害となる恐れ・・・の概念ですが
そもそも公衆衛生とは「共同社会の組織的な努力を通じて、 疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術」と言われています。
感染症を患っている
そして病気の部分に関しては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定されています。例として挙げると・・・
一類感染症
エボラ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱
痘そう
南米出血熱
ペスト
マールブルグ病
ラッサ熱
二類感染症
急性灰白髄炎
結核
ジフテリア
(一部の)重症急性呼吸器症候群
(一部の)中東呼吸器症候群
(一部の)鳥インフルエンザ
まず、1類感染症などでは、感染力や感染後の重篤性が極めて危険性が高いので原則入院や隔離が必要なため、永住許可申請どころではなくなってしまいます。
ほかにも指定感染症や新感染症なども公衆衛生上の観点から有害となる恐れになるものとされています。
大麻や覚せい剤などの中毒者である
麻薬、あへんなども該当します。
そもそも違法性が認められる可能性もありますし、使用が他者への悪い影響を与える可能性もあります。
感染症を患ったらまず治療
永住申請をするという事は原則として、基本的に申請者は長期間日本に滞在している外国人だと思います。感染症を患ったらまずは治療に専念しましょう。
日本は公衆衛生のレベルが他国と比べても比較的高い国です。これは一人の努力では成り立ちません。一人ひとりが、衛生管理に気を使い、病気を予防し、違法薬物などとの回避を心がけています。
うがい手洗い、部屋の掃除、人に密度の高い所ではマスク、感染症流行地域には立ち入らない、栄養価の高いものを食べ、自分や家族の健康に気を遣う。
他の要件に比べ、条件を満たしやすい部分ですので、生活習慣、体調管理に気を付けて過ごしましょう。
なるほど・・・。
そこまで大変な事を求めているわけではないのですね。
ただ、新しい感染症が流行ったりした場合、病気自体の危険性もありますが、例えば、感染症対策による企業の売り上げの低下で解雇となる人が増え、独立生計要件を満たせないケースなどが考えられます。
理解度チェック
- Q感染症だけでなく一部の薬物の使用状態も公衆衛生の観点で有害になるおそれのあるものと扱われる。
- A
答えは〇。薬物の使用は永住権申請の審査に影響があります。
- Q感染力の強い感染症になったが、予防をしていたし、自分の責任だけで感染したわけではないので、永住権の審査にはなんら影響はない。
- A
答えは×。永住許可(永住権)の国益適合要件である公衆衛生上の観点から有害となる恐れがあるものとして扱われる可能性があります。
- Q公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないと立証するには、申請者が医学的診断の結果をもって証明する。
- A
答えは〇。申請者が証明しなくてはいけません。