ある日、グーグルさんからのメールが届きました。この「とりかに行政書士事務所」のアクセス数を示すメールでした。

植田

どれどれ・・・なに!!

どうやらグーグルさんによると食品衛生責任者講習 受けてみたが一番見られているとのこと・・・!

植田

他の記事のほうが頑張って書いてるから見てーーーー!!

という気持ちにはなりましたが、よくよく調べてみると「食品衛生者講習 テスト 落ちた」と調べている方が、この記事を多く見ているとのこと。分かりますよ・・・。私もそう調べましたからね・・・。

という事は、

植田

行政書士試験の体験談書いたら、結構みんな興味あるんじゃない?

という事で、今回書かせていただくこととなりました。

合格する前の仕事

外資系の金融機関で数年間保険の営業をしていました。紹介営業で個人も法人もやっていました。業績は並くらい。特に表彰されるような経験はないですが、普通にのんびりやってました。もちろん簡単な仕事ではないので、辛酸をなめることも多くありました。

決してとても優秀な営業ではなかったと思いますが、今となってみれば行政書士は最初は営業が命だと思うので、完全な新規開拓営業は経験があって本当に良かったと思います。

そうでなければ、太いツテや、前職から仕事をもらえるようにしておくなどしておかなければ、すぐに瀕死になると思います。(開業者は要注意です。)

他にも職歴はありますが、ここでは割愛いたします。

なぜ行政書士か

外資の保険営業時代、経営者に提案していた保険契約が顧問の士業の先生に却下されることは往々にしてありました。

私は経営者の方の生き様が好きです。矢面に立って自己の責任で商売を行う人間には、生きる力があります。自分を自分の手で助ける力が、通常の人に比べ何倍もあり、目の奥で常に戦いの炎を宿しているように見えます。

経営者の方々がそれほどまでに信頼する士業って何者なのだろうとよく思っていました。なれるものならなってみたい、しかし、私の人生の選択肢には用意されていない道。そう思っていましたので、頭の片隅にはありましたが、勉強本を買うこともなく、何年もスルーしていました。

もう一つの理由は、行政書士の受験資格は学歴・職歴不問。法務部出身でなければならない等の受験資格がなかったから。 しかも士業の試験の中で一番敷居が低く見えました。

でも、他にも理由があります。

それは 出来ることがとてもたくさんありそうだったから。

多くの業界に営業開始時に必要な「許認可」の存在があり、その種類は膨大で、そしてその数は増え続けているから。市場調査をよく行い、覚悟を持って挑めば、食べていけるんじゃないかと思っていたからです。自分の商売で、尊敬できる経営者を支えたり、若しくはともに同じステージで成長していけるのではないかと思ったからです。

そして、もう一つ。外国籍の人を支えられる仕事だから。

ある中国人女性経営者の方がいます。彼女には大変人生を勉強させてもらいました。彼女の存在がなければ私の今の生活はありません。普通の生活は送れなかったと思います。

行政書士試験合格後、取次申請の試験を合格すると、行政書士は在留資格に関する取次申請ができます。この職権がなければ、行政書士という道は選択していなかったと思います。

ではここで試験についておさらいをしましょう。

行政書士試験とは

受験資格
年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。

試験日及び時間
毎年1回、11月の第2日曜日  午後1時から午後4時まで

試験科目と内容等
「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。

「行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数14題)(令和6年度試験から適用)
一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。

試験の方法
試験は筆記試験によって行います。出題の形式は、「行政書士の業務に関し必要な法令等」は択一式及び記述式とし、「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」は択一式とします。

試験場所
毎年7月の第2週に公示します。現在のお住まい、住民票記載住所に関係なく、全国の試験場で受験できます。

受験手数料
10,400円
一旦払い込まれた受験手数料は、地震や台風等により、試験を実施しなかった場合などを除き、返還しません。

配点は?

  • 5肢択一式の配点は各4点で40問あるので計160点
  • 多肢選択式の配点は各8点で3問あるので計24点
  • 記述式の配点は各20点で3問あるので計60点
  • 一般知識科目は5肢択一式が14問出題で、計56点   合計300点満点

合格ラインは?

  • 法令科目の得点が122点以上(得点率50%以上)
  • 一般知識等の得点が24点以上(得点率42%以上)  試験全体の得点が180点以上(得点率60%以上)合格

試験の詳細はこちらをご覧ください。→行政書士試験研究センター

勉強開始!

選んだ教材はゆーき大学でした。

ゆーき大学とは

ゆーき先生というメディアなどにも露出がある弁護士の先生が、有料の「神ノート」というテキストと、YouTubeの動画配信システムを駆使し 行政書士や宅建、マンション管理士を合格したい人向けに行われている講座です。

行政書士の試験範囲は民法・憲法・行政法・会社法(商法)・一般知識で、ゆーき大学は全教科をカバーしています。記述対策・憲法の重要判例などもまとめて出しています。(全部使いました)

内容ぎっしり持ち運ぶのも苦痛な行政書士テキストが多い中で、薄めなテキストなのにも関わらず重要なポイントはかなり抑えられていたと思います。

内容もシンプルだからこそ印象付けて覚えやすかったです。

勉強を進めていくとある情報とある情報がリンクするシーンがあるのですが、もう一方が分からないと理解が及ばないので、まず全体像をキチンの把握できる、定着するまで繰り返し勉強しなくてはいけないという点で、シンプルであることは重要だと思いました。

と、あとは肢別問題集。

ですが、尻に火が付かないと頑張れないのが人間。 人間らしい私は、試験3か月前から勉強を開始しました・・・。

試験当日から発表まで

勉強時間はたいしてありませんでしたが、肢別問題集は1.3倍くらいの厚みになるほど、補助知識を挟み込み、繰り返し使用しました。

2022年11月

この日は寒かったのを覚えています。場所は横浜の関東学院大学。朝5時くらいに家を出て、試験会場から一番近いと思われる漫画喫茶で、寝ぼけた頭から体を温めながら試験に適した頭に戻しました。

会場の最寄り駅に着くと、すでに人の集団が大きな列になって会場に向かっていました。途切れることのない人の流れは、見たところ40歳後半以上の男性が75%くらいでした。

それに対し、試験の最終チェックのためのプリントを無料配布する予備校のスタッフ。

そして試験会場へ入場。たまたま隣に座った受験生が同世代でしたが声をかけられるムードではなく、みな黙々と最後の復習をしています。

そして試験開始・・・。私は重大なミスをしました。

「頭が働くうちに一般知識を潰す」という思いから、先に着手した一般知識に試験時間の半分くらい使ってしまったのです・・・!

そのため、択一解答後、最後の記述に使える時間は3問でわずか8分ほどとなってしまいました・・・。

試験結果は?

2023年1月

記述以外で150点取れていることは、試験後の自己採点でわかっていました。なので、記述式の60点中20点くらい、余裕で取れてるっしょw と根拠のない自信からのほほんと過ごしていました。

そして、来たる合格発表日。ネットで確認しました。

結果は・・・。

後日届いた圧着ハガキによると獲得した点数は

しかし、必要と言われていた時間の半分の勉強時間で合格点からわずか2点足らずのところまで達したことは、非常に励みになったことは間違いありませんでした。

当時の不合格の知らせを嘆くライン↑ (補正措置かかれ・・・・!と最後まで望みを捨てていませんでしたが、圧着ハガキを見て、前を向けました。)

決意の二回目

それから半年、ちょこちょこ復習をしながらまた夏ごろから勉強を開始。教材は2022年のゆーき大学を引き続き使いました。それに合わせて、山本先生の司法書士試験向けのオートマで商法・会社法と民法の深堀をしていきました。

受かったらどこに営業に行こう、こんな風に事業を展開していこう・・・等々合格後を想像するのを励みに勉強を続けました。

そして今回は(私にとって)縁起が悪い関東学院大学ではなく、浅草の産業貿易ビルにしました。

2023年11月

前日から浅草のアパホテルに泊まり、牛丼を食べて、最後の晩酌をしました。(毎日の晩酌は勉強期間中やめられず・・・!)女風呂から見える東京スカイツリーに、来年は「行政書士 植田」だ!! となんとなく、決意のような予感のようなものを感じたのを覚えています。

2024年1月

合格発表1週間前からは、カウントダウン機能を使ってソワソワしていました。

そして結果は・・・

科目マークシート
法令択一(160点中)112
法令多肢選択(20点中)18
一般知識(56点中)40
記述(60点中)28
合計点数(300点中)198点

昨年に比べ20点アップでした。多分、民法と商法会社法は満点近かったように記憶しています。

行政書士試験について まとめ

試験勉強はやはり、自分をどれだけ信じられるか、テキストをどれだけ信じられるか、講師をどれだけ信じられるか、なのではないかなと思います。私はもう最後はゆーき先生の信者になっていたので、とにかく言われたことを、言われた以上の回数をやり続けました。

多分、行政書士試験は私の脳みそのレベルで取得できる一番難しい試験だったと思います。

それから合格率は10%くらいとなっていますが、年齢別に分けると若い人の合格率は比較的高かった記憶があります。

勉強中は興味なさそうに放っておいてくれてた人たちも、合格を報告すると、思いのほか喜んでいくれました。特に両親にはとりあえず「なんとなくの安心」をあげることが出来た気がします。両親も息子と娘が士業になるとは思っていなかったはずです。

5歳当時 鼻をほじった指をくわえる私

行政書士試験・開業についての噂

よくある噂が二つあります。

一つが「行政書士試験は簡単である」というもの。もう一つが「行政書士は開業しても食べていけない」というもの。

「行政書士試験は簡単である」という噂について

簡単とか難しいとかのレベルは人それぞれだと思います。暗記能力、思考力を測れる制度もあるとは思いますが、何を覚えるのか、いつまでに覚えるのか、短期長期の暗記もあるし、一概には言えないと思います。テキストとの相性もありますし。

ただ、一つ言うなれば、継続する力は必要で、いつまで他の自分の娯楽を制限できるのか、他のものを犠牲にできるのかという覚悟の軽重が合否を分けるんじゃないかなと思います。

あと、他の士業の資格と比べると、行政書士試験の難易度が低いのは事実です。

「行政書士は食っていけない」という噂について

先ほどの話から繋がりますが、行政書士試験は確かに税理士や司法書士に比べたら簡単だと思います。それゆえに行政書士試験を選んだとか、司法書士受ける前の腕試しで受験する人もいますが、法学部在学中の学生でもない限り、そんな時間を無駄にするべきではなく、他の士業の資格が本当に必要な人は、その資格のみの勉強をするべきだと思います。

それは、自分に合った業務が出来る資格を取るべきで、自分に合った業務でなければ、なかなか食べてはいけないからです。

特に行政書士は研修期間もないし、求人も少ないうえ、主に受注する仕事はスポット業務がほとんどなので、常に営業し、常に顧客となり得る人たちの動向をチェックし続けなければいけません。

その時間やツールは自分で捻出しなければいけませんし、市場を理解できても、コミュニケーション能力がなければ相手にしてもらえません。

行政書士は士業の中でも単発の「経営者相手の仕事」が多いはずです。経営者、若しくは経営者となっていく人に「話が分かる奴だな」と思ってもらえる人間になっていかなくてはいけないと思います。

そういう意味では食べていくのは大変であるという噂は嘘ではないと思います。(というより、試験に受かれば安泰なんていうそんなうまい話無いですよね。)

余談:行政書士会について

他の士業に比べて、行政書士は孤独だな~と思います。ほとんどの研修も任意なので、同期が集まるってこともあんまりないですし・・・。

そんな行政書士でも一人ひとり行政書士として活動するには「行政書士連合会」というものに身分を登録し、その中から「都道府県」ごとに支部が分かれ、組織の一部となります。

これは私が驚いたことでもあるのですが、そんな各都道府県行政書士会の一つである神奈川県行政書士会の会長・副会長と呼ばれる人たちは、みんなイケオジ!!お話もうまく、ピシッとしたスーツを着ています。みなさんタレントさんのようです。

外資系の営業会社にいたので、イケオジはたくさん見てきましたが、さすがに60歳70歳近いイケオジの集団はなかなか見ません。

このような先輩たちはスマホもない、地図アプリもない、判例を気軽に見れる機会も少ない、マーケティングの基礎も学べず、カスハラもパワハラもされ放題の時代からのし上がってきた叩き上げです。波乱万丈な人生経験豊かな方も多くいるので、とても人生の参考になります。

行政書士になってみて数か月の感想

2回目の試験を受験後、合格発表前に兄:宍戸も試験を受けていたと初めて聞きました。無事二人とも合格していたという事で二人で開業する道を選びました。

道を選んだら善は急げという事で、すぐに登録、開業の手続きをしました。兄弟で雇用契約も同時にして行政書士登録というのは他に例がなかったようで、登録の担当の方にはご苦労をおかけいたしました。

5月1日開業となりますが実質7月半ばから営業を始め、2か月が経ちました。最近はポツポツと受任が増えてきました。これはひとえに、他に無駄な不安もない状態で仕事させてくれる、植田家の男前や、兄や、ご指導いただける行政書士の先輩、ご協力いただける他士業の先生、私たちのマーティングを支えてくれる専門家の方の存在があるからだと思います。

特に、兄は私よりも慎重派で私よりもIT知識や語学に優れていたので、私はとても恵まれた環境で事業を開始することができました。

男女いるために出せる良さはありながら、男女がそろっていると起こりやすいトラブルは兄妹なのでないですし、兄妹だから出せる良さはありながら、兄弟特有の起こりやすいトラブルは兄妹であることや、離れて暮らしていた時期が長かったことから起こりにくいように感じます。

開業して比較的早期から応援の気持ちでご依頼くださった方もいらっしゃり、日進月歩ではありながら仕事を通じ多くを学ばせていただいています。

これからも頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

2024年 行政書士試験受験生の皆様のご健闘、お祈りしております!