〜採用前から入社3か月までに本当に起こる問題と、現場でできる実践対策〜

Iさん

実は採用決めたんですよ!
特定技能の国内在住のスリランカ人の方!

植田

おめでとうございます!!

Iさん

でも僕んとこも、特定技能って初めてなんでね・・・。
どんなトラブルが起こるのかっていう事すら想像が出来なくて・・・。

特定技能制度は「即戦力外国人材」を受け入れられる制度として注目されていますが、
採用・受け入れを急ぎすぎると、制度の理解不足や現場対応の甘さから離職・支援義務違反・労基署や入管からの指導など、深刻なトラブルが発生することも珍しくありません。

本記事では、「採用前・採用直後(3か月以内)」に起こるトラブルと、それをどう防ぐかを実践レベルで詳しく解説します。

採用前によくあるトラブルとその予防策

トラブル①業務内容が在留資格と合っていない

例えば・・・
「特定技能(外食)」なのに清掃や皿洗いだけ、「介護」なのに送迎や清掃が主業務になっていた。

対策

分野別「従事可能業務一覧(入管庁HP)」を必ず確認
契約書や業務マニュアルに業務内容を明記
入社前に業務内容を母国語で説明する(義務です!!!)

トラブル②就労ビザの手続き遅れ・不備

「来月から勤務で」と内定後急かした結果、在留資格変更が間に合わなかった…

対策

採用内定と同時に、ビザ取得スケジュール表を共有
外国人材のサポート経験がある行政書士と連携
就労前に在留資格が「特定技能」であることを入管で確認

トラブル③採用面接時の「日本語力」が現場レベルに達していない

N4持ってると言うけど、敬語も業務用語も全く通じない!

対策

面接時に実際の業務を想定したロールプレイ形式の会話チェックを実施
「冷蔵庫」「制服」「お客様」などの用語を使ってテスト
「日本語力シート」で業務別の必要レベルを明示

トラブル④労働条件の説明不足による“条件違い”問題

「残業がないって言ってたのに、毎日1時間ある」
「“休日は週2日”と言われたのに、実際は週1回だけ」

対策

雇用条件通知書をやさしい日本語+母国語で説明
「残業の有無」「寮費」「控除内容」「交通費」を特に明確に
重要な項目には「✓」印とサインをもらう

入社後3か月以内に起きやすい問題と対策

トラブル⑤業務ミスマッチによる早期離職

「聞いていたより仕事がきつい」「こんな仕事とは思わなかった」

対策

初日に1日の流れをイラスト付きで説明
「1か月でできるようになる業務一覧」を提示し、進捗確認
できる仕事から任せ、小さな成功体験を経験してもらい、自信をつける!

トラブル⑥支援機関との連携ミス

支援機関が生活支援をしていなかった。入管報告書も提出されず…

対策

契約時に「支援内容一覧」+「実施スケジュール表」を作成してもらう
月1回、企業・支援機関・本人の三者ミーティングを設定
支援記録は企業側もコピーを保管

トラブル⑦孤立・相談できず突然の失踪

「何も言わずいなくなった」「寮を出て音信不通に…」

対策

企業側にも“生活相談係”を設置(日本人でもOK)
入社初日に「何かあったらここに連絡していいよ」とLINE交換
「困ったときカード」「寮ルールブック」などの支援ツールを活用

トラブル⑧日本人社員との軋轢・文化摩擦

「あいさつがない」「メモを取らない」「言い訳が多い」と怒られる

対策

入社時に「日本の仕事の文化(ホウレンソウ・敬語・時間感覚)」を共有
社内に「外国人と一緒に働くポイント」マニュアルを配布
トレーナーやメンター制度で日常的にコミュニケーション

チェックリスト【採用前〜入社3か月対応用】

  • 分野別「就労可能業務」一覧を確認済み
  • 雇用条件を本人に多言語で説明し、合意署名済み
  • 面接時に日本語の実務テストを実施した
  • 支援機関との契約内容を確認・共有している
  • 生活・仕事の相談先を複数用意してある
  • 月1の面談ルールが社内で整備されている
  • 日本語教材・視覚マニュアルを準備済み
植田

特定技能外国人の採用・定着には、
「人材紹介だけ」「支援機関に任せきり」では不十分です。
制度の理解
外国人の立場に立った準備
現場とのコミュニケーション環境整備
この3つが揃ってこそ、“離職しない・活躍する”特定技能人材の雇用が実現できます。