制度を理解すれば、優秀な人材の確保と長期雇用が可能に


在留資格には2つの大きなカテゴリがある

外国人を採用する際に重要なのが、「その人の在留資格で何ができるか」という点です。
在留資格は大きく以下の2つに分けられます

分類特徴
就労系在留資格職種が限定されている(例:技人国・特定技能)「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」など
身分系在留資格原則、職種に制限なし/就労制限なし「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」

この記事では後者、「身分系在留資格」について詳しく解説します。


身分系在留資格とは?

定義

「身分または地位に基づく在留資格」として、日本との深い人的関係を持つ外国人に付与される在留資格で、原則として就労制限がありません。

そのため、職種や業種、雇用形態(正社員・アルバイト)を問わず、自由に働くことができます。


主な「身分系在留資格」の種類と特徴

在留資格名主な対象就労可否在留期間
永住者永住許可を受けた外国人制限なし(何でも可)無期限(在留カードは7年更新)
定住者日系人、日本人と離婚した配偶者など制限なし(何でも可)1年・3年・5年など(更新制)
日本人の配偶者等日本人の配偶者、子など制限なし(何でも可)1年・3年・5年など(更新制)
永住者の配偶者等永住者と結婚した配偶者・子制限なし(何でも可)同上

身分系ビザの人を採用する企業のメリット

職種・業種を問わず雇用できる

→ 工場のライン作業、接客、介護補助、清掃、事務など、単純労働を含めて幅広く対応可能

在留資格の更新・変更手続きが不要

→ 永住者などは「在留期間無期限」のため、企業がビザ更新をサポートする必要がなく、雇用管理がシンプル

長期雇用・定着が見込める

→ 家族と共に日本に定住している人も多く、定着率が高い傾向


採用前に確認すべきポイント

身分系在留資格の外国人を採用する際も、以下の基本事項は必ず確認しましょう

項目チェックポイント
在留カードの確認在留資格名、有効期限、就労制限欄(基本は「就労制限なし」)
日本語能力職種によっては日常会話レベル以上が必要
履歴・職歴長く働いてもらうため、本人のキャリア希望も確認
社会保険加入在留資格に関係なく、法令に基づく手続き(社保・労保)は必須

よくある誤解と注意点

誤解正しい理解
「永住者なら雇用契約書も要らない?」必須です。在留資格に関係なく労働基準法は適用されます。
「配偶者ビザだから扶養内でしか働けないのでは?」違います。身分系はフルタイム勤務が可能です。
「外国人だから特別な支援が必要?」ケースバイケースですが、日本語での社内コミュニケーション支援などは有効です。


まとめ

ポイント内容
身分系在留資格とは永住者や日本人の配偶者等など、自由な就労が可能な在留資格
雇用可能な職種原則すべて(単純労働含む)
採用メリット就労制限なし、長期雇用可能、更新の負担が少ない
採用時の注意在留カード確認、法令遵守、日本語支援体制など
法的義務他の従業員と同様に労働法規の遵守が必要

「身分系ビザ」の外国人材は、企業にとって即戦力かつ柔軟な労働力です。
制度を正しく理解し、適切に受け入れることで、人材確保と職場の多様性向上が実現できます。