前回の記事

そもそも事業規模要件とは

前回、経営管理ビザの取得には事業所の確保が必要という事について解説いたしました。今回はもう一つの要件である事業規模の要件です。

そもそもどのような文言で定められているのかというと・・・。

上陸基準省令 経営管理の項 下欄

二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

つまり・・・

イ・・・従業員の人数としての規模

ロ・・・出資金額での規模

ハ・・・イ・ロに準ずる規模であること

どれかに該当することで【事業規模要件をクリアできる!】という事ですね。

では順番に解説していきます。

イ:人数で事業規模要件をクリアする

  1. 常勤の従業員を
  2. 2名以上雇用

・・・することが必要です。

いけそう!

とりかに君

と、思いますよね。

もう少し深堀りしていきましょう。

「常勤」とは?

常勤の職員と言えるためには、「職務」「責任」が定められ、なおかつ「職務に応じた給与」があり、そのうえで、毎日所定の時間勤務しているものとして、「労働日数が週5」「週労働時間30時間」以上あることが求められます。

とりかに君

なので、パートタイマーの雇用では足りないというわけです。

だれでもいいの?

そして、常勤であればだれでもいいのかというとそうではありません。

常勤で雇用する被雇用者が「日本人」または「特別永住者」「永住者」「永住者の配偶者」「定住者」である必要があります。

「技人国」「技能」などの在留資格をもつ外国人をいくら常勤で雇用しても事業規模要件はクリアできないのです。

つまり・・・「日本人」または「特別永住者」「永住者」「永住者の配偶者」「定住者」を二名以上、週5日以上、週30時間以上の常勤で雇用することが必要・・・という事です。

注意

もちろん週5日以上、週30時間以上の雇用だからと言って、労働基準法に違反してしまう長時間労働などは認められていません。適法に事業が行われていることは大前提です。

ロ:出資金額で事業規模要件をクリアする

株式会社の場合、払い済み資本の額(資本金)が500万円となることが要件です。

合同会社などは出資の総額が500万以上であることが求められます。

これは、申請人以外の人が出資して資本金を500万円にすることも認められています。あくまでも事業規模の要件であって、申請人の出資を求める趣旨ではないからなのです。

でもこの資本金って法人であることが前提として書かれているよね?
個人事業主の場合はどうするの?

とりかに君

そんな時にはこれから説明する【ハ:どちらにも該当しない場合】に該当させる必要があります!

ハ:イかロに準じた規模

この【ハ:イかロに準じた規模】は、人数が確保できなかったときや従業員を2人以上雇用する予定のない場合、個人事業主で経営管理ビザを取得していく際に該当させなくてはいけない基準です。

イ:「日本人」または「特別永住者」「永住者」「永住者の配偶者」「定住者」を二名以上、週5日以上、週30時間以上の常勤で雇用している】に準じた規模

若しくは【ロ:500万円以上の資本金】に準じた規模

であることが必要なのです。

では、イ・ロに準じた規模にするにはどうすればいいのか解説していきましょう!

本来は【イ:「日本人」または「特別永住者」「永住者」「永住者の配偶者」「定住者」を二名以上、週5日以上、週30時間以上の常勤で雇用している】若しくは【ロ:500万円以上の資本金】ことが必要です。

ですが、例えば1人しか雇用できなかった場合・・・もう1人の常勤職員を雇うのに要する費用(概ね250万円程度)を出資して営む事業であれば、要件を満たします。

常勤従業員がいない場合・・・500万円以上を出資して営む事業であればこの要件を満たします。

※ここでいう出資とは、事業を営むために必要なものに使用された資金の総額を指し①事業所の確保にかかったお金 ②雇用する従業員の確保 ③事務機器などの購入費用 がこれにあたります。

理解度チェッククイズ

Q
経営管理ビザ申請の際に求められている「常勤」とは、週〇勤務以上、週〇時間以上の勤務の事を言う。
A

週5日以上、週30時間以上

Q
出資500万円は申請人が全額払わなくてはいけない。
A

答えは×。 あくまで事業規模の話であるので、申請人の出資を求めているわけではない。