植田

今回は、【経営管理ビザのガイドライン】の許可不許可事例をもとに、一つの会社に二人の経営管理ビザが可能なのか解説していきます。

一つの会社に二人の経営管理ビザってできるの?

基本的に入管は、「会社一つに経営者は一人で足りるよね。」という考えで経営管理ビザは、原則「一つの会社に一人の経営管理ビザ」しか認めません。しかし、絶対に一人だけしか認めないわけではなく、様々な状況を汲んで、二人目にも経営管理ビザを与えることもあります。

入管はどんな会社であれば二人に経営管理ビザを与えるのか?

ポイントは

  • 二人の業務の専門性の違い
  • 業務量が多い
  • 出資額
  • 二人とも経営管理ビザであるべき理由

この4つがあるかないかで、経営管理ビザが一つの会社に二人与えられるかの決定に大きく影響します。

二人の業務の専門性の違い

例えば、Aは「会計・資金調達」の専門家で、実際に長年その経験があり、Bは「交渉・育成」の専門家で、実際に長年その経験がある。

または、Aは「香港に人脈があり、その商習慣・情報に精通し、その人脈を元に販路拡大や仕入れが可能」である。Bは「日本国内に人脈があり、その商習慣・情報に精通し、その人脈を元に販路拡大や仕入れが可能」などです。

このように二人の得意分野が専門的でそれぞれ異なる業務を同じ会社内でやるからこそ会社が安定・継続して事業が行えるとされる場合です。担当する業務が明確に分かれていることが必要です。

業務量が多い

しかし、売り上げも低く、従業員も少ないなど全体の業務量が非常に少ない場合は、経営者が二人いる明確な根拠を示しずらく、入管から経営者が二人いる必要性を認められない可能性が高いです。

逆にいうと、売り上げが大きく、従業員数も多い場合、それそれの経営者に大きな業務量や責任があると、二人の経営管理ビザが認められやすいとされています。

出資額

そもそも一人で経営管理ビザを取得する場合500万円以上の出資の要件があります。(人を雇用することで500万円の出資を行わなくてもいい場合もあり。)

それに準じて、経営管理ビザが二人の会社では、外国人二人がそれぞれ500万円以上の出資があることが求められます。

二人とも経営管理ビザであるべき理由

二人の各専門家がお互いの専門的な判断から、ともに話し合い経営方針を決定します。二人とも経営に関する決定権を持っているのがポイントです。

一人に経営の決定権を与えていなければ、二人とも専門的な業務を役割分担していたとしても、それでは「技・人・国」など他の在留資格での就労で十分事業が行えてしまうと判断されてしまうからです。

植田

ではこの4つのポイントの観点から、許可・不許可事例を見ていきましょう!

許可事例

事例1:取引の専門家・商品管理の専門家

外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して、本邦において輸入雑貨業を営む資本金1,000万円のX社を設立したところ、Aは、通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり、Bは、輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは、海外取引業務の面から、Bは、輸入品の管理及び経理面から、それぞれにX社の業務状況判断し、経営方針については、共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

二人の経営管理ビザが認められた。

植田

解説:二人とも出資額が500万以上、それに専門的に行う分野がそれぞれ違い重要な業務を二人とも担っています。そして経営に関する方針は二人で話し合うことで決定するという事で、二人の経営管理ビザが認められました。


事例2:担当地域が分かれている

外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して、本邦において運送サービスを営む資本金1,400万円のY社を設立したところ、運送サービスを実施する担当地域を設定した上で、C及びDがそれぞれの地域を担当し、それぞれが自らの担当する地域について、事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は、C及びDが合議で決定することとし、C及びDの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

二人の経営管理ビザが認められた。

植田

解説:二人とも出資額が500万以上、経営に関する方針は二人で話し合うことで決定するという事ですが、専門的な分野に違いはなく、地域で二人の担当を分けました。それぞれの地域がある程度業務量が多いから二人の経営管理ビザが認められたのではないでしょうか。

事例3:それぞれの経験を生かし、ポジションを分けた

外国人E及びFは、それぞれ800万円及び200万円を出資して、本邦においてデジタルマーケティングに係る専門的トレーニングや教育を提供する事業を営む資本金1,000万円のZ社を設立するため、国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を活用して起業活動を行うこととしている。Eは、過去の起業や人材育成の経験を活かしCEO兼ヘッドトレーナーとして、Fは、長年のマーケティング会社での経験を活かしチーフ・マーケティング・オフィサーとして、共同で事業を運営していくこととなっている。

二人の経営管理ビザが認められた。

植田

解説:二人とも異なる専門分野ですが、出資額が800万と200万で、一人が500万以下で認められた事例です。
国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を活用したという事もありますが、きちんと二人合わせて1000万以上の出資額にして、一人が最高経営責任者、一人がマーケティングの最高責任者としてポジションを明確に分けたことが、二人の経営管理ビザが認められた要因かもしれません。