とりかに行政書士事務所では本来、「タバコ屋さんの知り合いはいないけど、出張販売してほしいお店側」からのタバコ出張販売許可のご依頼は受け付けておりません。
※たばこの出張販売許可をうけたいたばこ屋さん・契約を結ぶ予定のタバコ屋さんが決まっているお店側からのご依頼は受けております。
スナックとりかにのマスター
2022年神奈川某所に念願のスナックをオープンした40歳男性。
コンセプトはしっぽり飲める大人の隠れ家。
顧客層は主に歩いてこれる範囲に住む30から70歳のご近所さんで、
先日もいつものように、お客さん達がタバコを吸いながら談笑をしていると
お店のドアが開き数人の男が入ってきた。
「何名様ですか?」の問いかけに対し、
「たばこ、吸わせてますね?」と先頭の男が言った。
どうやら、役所の人だったようだ。
話を聞くと、うちは「タバコを吸ったらいけないお店」らしい。
「吸わせないか、吸えるようにするか、どうにかしてね。」
といって穏やかに男たちは出ていった。
とりあえず、その瞬間からスナックとりかには禁煙・・・。
次の日、急いで知り合いの行政書士に連絡をしてみた。
とはいっても、右のスナックも左のバーもタバコを吸わせているし、
店の目の前には喫煙所もあるんだ。どこも喫煙させてるんだよ。
なんでうちだけダメなんだ?
マスター、お久しぶりです。
マスターのお店が禁煙じゃないといけないのは、この法律のためかも
しれません。
根拠法令~事の始まり~
2020年4月 世の喫煙者を震え上がらせる法律が施行されました。(嫌煙者は歓喜したでしょう。)
改正健康増進法
「改正健康増進法」とは、2018(平成30)年に公布され2020年4月に施行された「健康増進法の一部を改正する法律」のことをいいます。
この法律の趣旨は「望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について権限を有する者が講ずべき措置等について定める」こと。
この法律の基本的な考え方
【基本的考え方 第1】「望まない受動喫煙」をなくす
受動喫煙が他人に与える健康影響と、喫煙者が一定程度いる現状を踏まえ、屋内において、受動喫煙にさらされることを望まない者がそのような状況に置かれることのないようにすることを基本に、「望まない受動喫煙」をなくす。
【基本的考え方 第2】受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮
子どもなど20歳未満の者、患者等は受動喫煙による健康影響が大きいことを考慮し、こうした方々が主たる利用者となる施設や、屋外について、受動喫煙対策を一層徹底する。
【基本的考え方 第3】施設の類型・場所ごとに対策を実施
「望まない受動喫煙」をなくすという観点から、施設の類型・場所ごとに、主たる利用者の違いや、受動喫煙が他人に与える健康影響の程度に応じ、禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、掲示の義務付けなどの対策を講ずる。その際、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものについては、事業継続に配慮し、必要な措置を講ずる。
では、この法律で飲食店にはどのような影響が生まれたのでしょうか?
たばこを吸えるお店一覧
この法律により、飲食店は基本的に全面禁煙となりましたが、一定の条件に適合する場合においては、タバコを吸えるお店・吸えないお店の区分がされました。
既存の経営規模の小さな飲食店「既存特定飲食提供施設」
既存の経営規模の小さな飲食店は、普段から店内でタバコOKにしていた場合、急に法律を作られてしまい、それに従え!絶対禁煙だ!といわれてしまったら、事業継続に大きな影響を与えられてしまいます。そのため、経過措置として喫煙可能店として認めてもらうことができることになりました。
条件は以下のように定められています。
- 2020年4月1日時点で、現に存する飲食店であること。ただし、法施行後に何らかの状況の変更があった場合に、引き続き「既存の飲食店」に該当するかどうかは、①事業の継続性、②経営主体の同一性、③店舗の同一性等を踏まえて総合的に判断されます。
- 中小企業基本法における定義などから資本金5,000万円以下であること。一の大規模会社が発行済株式の総数の2分の1以上を有する場合などを除く。
- 客席面積100㎡以下であること
- 従業員がいないこと(パートやアルバイトも含む)
上記の条件を全て満たしているお店に限り、既存特定飲食提供施設として、喫煙を可能にできます。
そうか・・・。隣近所のバーやスナックは
2020年以前に開業していたから、たばこを吸えるのか。
じゃあ、2020年以降に開業したうちみたいなお店は
どうしたらいいんだ・・・!
新しくオープンしたお店は、下の3種類から
喫煙を可能にするお店にすることができますよ!
喫煙専用室の設置
紙たばこも可能。下記の条件があります。
- 2020年4月1日以降の新規店、または客席面積100㎡超、または資本金5,000万円超のいずれかに該当する店舗
- 喫煙専用室は飲食禁止
- 出入口の風速を毎秒0.2m以上確保
- たばこの煙が漏れないように壁・天井等によって区画
- たばこの煙を屋外に排気
でもうちはお酒も提供するから、お酒を飲みながら
タバコが吸えるお店じゃなきゃダメなんだよ。
加熱式たばこ専用喫煙室に設置
加熱式たばこのみ可能。下記の条件があります。
- 2020年4月1日以降の新規店、または客席面積100㎡超、または資本金5,000万円超のいずれかに該当する店舗
- 出入口の風速を毎秒0.2m以上確保
- たばこの煙が漏れないように壁・天井等によって区画
- たばこの煙を屋外に排気
某カフェの喫煙席ゾーンがこれにあたります!
電子タバコのみであれば、「加熱式たばこ専用喫煙室」では
お酒も飲めますよ!
いいね!でも、うちはお客さんのほとんどが
紙たばこを吸うから、電子タバコに限ってしまったら
紙たばこのお客さんを失ってしまいそうだなあ・・・。
喫煙を主目的とするバー・スナック等
喫煙を主目的とするバー・スナック等は全席喫煙やエリア分煙等を継続することができます。ただし、ご飯や麺類等の「通常主食と認められる食事」を主として提供する飲食店は「喫煙を主目的とするバー・スナック等」にできません。
下記の条件があります。
- たばこの販売許可を得てたばこの対面販売を行う飲食店(喫煙目的室)であること等
飲食も出来て、紙たばこもOK、ご飯ものも出してないから、うちはまさにこれだね!
でもこの「たばこの販売許可を得てたばこの対面販売を行う飲食店」っていうのには該当していないな・・・。
どうしたらたばこを売ることができるんだろう?
たばこ販売できるようにするのは、基準に合っていない場合、
めちゃんこ大変です。
たばこ販売許可について、チラッとご紹介します。
たばこの販売許可を得るには?
たばこ小売販売業の種類
まず、たばこ小売販売業には、販売形態により「特定小売販売業」と「一般小売販売業」に分けられます。
「特定小売販売業」
劇場、旅館、飲食店、大規模な小売店舗(売場面積が 400 平方メートル以上の店舗)等の閉鎖性があり、かつ、喫煙設備を有する消費者の滞留性の強い施設内でたばこ販売を行う時
「一般小売販売業」
上記以外でたばこ販売を行う時
許可の基準(たばこ事業法第 23 条、たばこ事業法施行規則第 20 条~第 22 条)
許可を受けるためには、申請者及び予定営業所の場所に関する基準を満たす必要があり、許可申請の内容が、次の基準のいずれか一つに該当する場合は「不許可」となります。
- 申請者が、たばこ事業法による罰金刑を受けて 2 年以内の者、破産者等のたばこ事業法(第 23条第 1 号から第 7 号まで)に定める者に該当する場合
- 予定営業所の位置が、袋小路に面している場所等たばこの購入に著しく不便と認められる場所である場合
- 予定営業所と最寄りのたばこ販売店との距離が、予定営業所の所在地基準距離に達していない場合。※特定小売販売業の場合、距離の基準は満たしているものとされます。※環境区分は、申請後にJTの現地調査の結果に基づいて区分されます。(下記表:財務省・たばこ小売販売業の申請者の皆様へ から引用)
- 予定営業所におけるたばこの取扱予定高が、月間 4 万本に満たない場合(特定小売販売業の許可の申請の場合は、月間 3 万本)
- 予定営業所の使用の権利がない場合(許可後1ヶ月以内に開業の見込みがない場合を含みます。)
- 申請者が法人であって、たばこの販売が当該法人の定款又は寄附行為によって定められた目的の範囲に含まれない場合
月間3万本!?
30000(本数)÷25(営業日数)=1200(本)
1日に1200本を売るということは
1200(本)÷20(1箱)=60(箱)
1日60箱を取り扱うって・・・ちょっと現実的ではないなあ・・・。
他にも基準が緩和される条件がいろいろ用意はされているんですが、やはり結構基準をみたすことって大変なんです。
たばこを販売できないということは、
たばこの販売許可を得てたばこの対面販売を行う飲食店(喫煙目的室)にできないということ。
ということは、喫煙を主目的とするバー・スナック等にできなくて
結局は、タバコと飲食は諦めないといけないということかあ・・・。
そうなんです。
しかし、協力者がいれば、スナックとりかにを
喫煙を主目的とするバー・スナック等にする、最後の方法があります。
それは、お知合いのたばこ小売業者さんに「たばこ出張販売許可」をとってもらうご協力をいただくことです!
・・・・たばこ出張販売許可・・・?
なにそれ