調査員めるお

今回の司会を務めます、めるおです。
猫派遣組織であるNNNにロックオンされた川崎在住の人間は、法律や条例に従い、やらなくてはいけないことが、たくさんあります。
ぼくたちと一緒に住みたいのなら、人間は大人しく正しい手続きを行わなくてはいけません。

そもそも猫(対象となる動物)って?

可愛い猫ちゃんにも種類があります。ですが、そもそも「猫」とは一体何なのでしょうか?

狭義には食肉目ネコ科ネコ属に分類されるリビアヤマネコ(ヨーロッパヤマネコ)が家畜化されたイエネコ(家猫、Felis silvestris catus)に対する通称で、

綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : 食肉目 Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
科 : ネコ科 Felidae
属 : ネコ属 Felis
亜属 : ネコ亜属 Felis
種 : ヨーロッパヤマネコ F. (F.) silvestris
亜種 : イエネコ   ←コレのこと

Wikipedia:ネコ より

調査員めるお

要は可愛い毛玉ってことです。

イエネコにも種類がある?

下記の表は川崎市で使用されているイエネコの中の定義です。イエネコ=家で飼われている猫ではないという事ですね。

まず大きく分けて「所有占有の意思を持ち継続的に餌や水を与え世話をしている特定の人」がいるかどうかでカテゴリーが別れます。

「所有」とは、例えば特定の猫ちゃんについて一緒に住んだり、売ったり、自由にできる法的な権利を指します。一例をあげると、自分で購入した自分のキャットタワーを所有している場合に、そのキャットタワーを自由に使用したり貸したり売ったりする権利です。もちろん、売ったり貸したりしてお金を稼ぐこともできます。仮にキャットタワーを友人に貸していて、友人の家にキャットタワーを運んで友人が使用していても、キャットタワーの所有権は自分にあります。

「占有」とは猫ちゃんを自分の支配下に置いている状況を指します。(家においていたり等) 一例をあげると、知人からキャットタワーを借りて、自分の部屋に置きます。所有権は知人が持っていますが、借りた人が実際にキャットタワーを使っている間、そのキャットタワーの占有権を持っている状態です。この占有者はキャットタワーを使用できますが、自由に売ったり貸したりすることは基本的にはできません。

猫ちゃんに対して、これらの意思を持ちながら、継続的に世話をしているか否かで判断できるというわけです。

では以上の分類方法をもとに細かい種類を見ていきましょう。

飼い猫(特定の飼い主が存在する猫)

所有・占有の意思を持って、継続的に給餌給水などの世話をされている猫のことを指します。

(1) 内猫  

家の中のみで飼養されている猫。あなたがPC作業をしている時に画面の前を占領してくるあのタイプです。

家の中のみで飼育されているため、出たがっても飼い主は出さないし、脱走防止の措置も図られていることが多いようです。 川崎市条例により、猫の屋内飼養を飼い主の努力義務として規定しているので、それがきちんと守られている猫ちゃんです。

猫ちゃんにとって快適な環境を約束できる場合、猫ちゃんはエサや縄張りの確保しなくて済み、健康的に日常生活を送れるため、寿命が長い傾向があります。

調査員めるお

めるおは完璧完全な内猫です。

(2) 外猫

所有占有の意思を持つ特定の飼い主が存在するが、基本的に外で飼われている猫の総称。外猫には「出入り自由猫」「庭猫」二つの種類があり、下記の二つの種類の飼い猫が野良猫を増やす要因につながっています。


(2-1) 出入自由猫

基本的に家の中で飼育しているが、猫が要求すれば、自由に外へ散歩させてもらえるタイプの猫ちゃんです。基本的に餌付けされているため、餌の確保を自力でできない場合もあるため、迷子になった場合生き延びることが難しかったり、事故や喧嘩などで怪我や病気のリスクもあります。

また、糞尿の被害を近隣住民に与える可能性があり、不妊去勢手術されていない場合は、野良猫が増える原因になります。

(2-2) 庭猫

所有の意思を持って継続的に給餌給水して世話をする特定の人はいるものの、屋内には一切入れず飼養されている猫とされているねこちゃんです。ですが、屋外に一切入れない状態なので、行動が把握しきれず猫ちゃんが家に帰ってこなければ継続的にお世話をすることも困難な形態です。出入自由猫と同様のリスクがあります。

野良猫(特定の飼い主が存在しない猫)

 特定の飼い主(所有占有の意思を持ち継続的に餌や水を与え世話をしている人)が存在せず、屋外で生活する猫ちゃんのことです。人への慣れ方は猫ちゃんそれぞれのため人から確保できる餌の量もまちまちで、栄養状態が悪いことが多いため、飼い猫に比べ病気であることも多いようです。事故に遭う可能性が多いにもかかわらず、事故により怪我していても面倒を見てくれる人がいないことも多いため、比較的寿命が短い傾向にあります。

(1) 世話猫
 所有や占有の明確な意思のない住民により、継続的に餌付け等の世話をされている猫ちゃん。避妊手術済みの猫が多く、餌付け猫に比べ、比較的人の管理下にいます。

(2) 餌付け猫
 所有占有の明確な意思のない住民(不特定である場合も)に継続的に餌付けされている猫ちゃん。基本的にはベンチでハトにパンをあげているような感覚のようで、避妊手術など餌付け以外のケアがなされていないため、野良猫を増やす原因に。

餌を放置することにより、ネズミやカラスの増加にもつながってしまいます。

地域猫

上記の二種類の「野良猫」とは違い、所有占有の明確な意思を持って世話をする特定の飼い主はいないものの、比較的組織化されたボランティアや地域住民により、適切な管理がされている猫ちゃん。この猫ちゃん達を支える活動は地域猫活動と呼ばれており、その活動は「猫ちゃんを助けたい人」ばかりでなく「野良猫の被害に困っている人」のためにもなっています。

ちなみに川崎市でも、地域猫活動を支援しており、去勢・不妊の補助や、地域猫サポーター(地域猫を管理や保護するボランティア)の登録制度を市が行っています。また愛護センターでは無償で手術も行っており、そのために捕獲が必要な場合の捕獲ゲージの貸し出しまで行っています。

近隣住民への周知、近隣住民へ糞尿等の被害が出ないようルール化されたトイレの世話や給餌、TNR(T:TRAP捕まえて N:NEUTER手術して R:RETURN元の場所に返す)、住民へ活動の結果報告などが主な地域猫活動の内容です。

とはいえ、地域猫の生息にかかせないのは、地域住民の協力や応援です。行政も関わり行っている活動ですので、個人的には暖かく見守っていただきたいと思います。

参考:神奈川県飼い主のいない猫対策ガイドライン別冊「地域猫活動実践マニュアル」

調査員めるお

要は先述の野良猫(世話猫・餌付け猫)を地域猫化しているのです。

ノネコ
人の与える餌ではなく、他の野生動物等を捕食して生きている完全に野生化した猫ちゃんのこと。川崎市いわく、ノネコは川崎市には存在しないとのこと・・・。※川崎はどこに行っても人が住んでいるので、おのずとノネコに分類できる猫がいないという事かと思われます。

調査員めるお

ノネコ先輩はこわいですね・・・。

「飼い猫」を飼育する際に求められる義務

ここではそんな猫ちゃんを飼育するにあたり、飼い主に求められている義務を「法令」や「ガイドライン」を元に説明していきます。※法令の()内は省略しております。

終生飼養をすること!

 猫のみならず、動物を飼育する場合、畜産のためである場合その他、一時な保護である場合を除き、基本的にその動物が生涯を全うするまで飼育をしなくてはいけません。

医療や食事の進歩により、猫をはじめペットとなっている動物の平均寿命は長くなっています。今の状況だけではなく、この先の10年20年を考え、20歳年を取った自分がどのような健康状態であるか、生活環境であるか、実際に動物が飼える環境であるか、また、自分がどうしても変えなくなってしまった場合だれに託すのかなど、様々な考慮が求められます。

猫は比較的小さく、静かな動物のため多種多様な人間のライフスタイルに合わせやすい個体が多くいますが、猫自身も年を取ります。保険適用外のため医療費も考えておかなくてはいけません。

  川崎市動物愛護条例 第5条第1項 (飼い主の遵守事項)

(2)畜産その他の正当な理由がある場合を除き、動物を終生にわたり飼養するよう努めるとともに、やむを得ず飼養することができなくなった場合には、自らの責任において新たな飼い主を見つけるよう努めること。

所有者としての明示をすること!(マイクロチップの挿入・登録)

猫が人や物に損害を加えた場合、基本的に飼い主が責任を問われます。また災害、事故に巻き込まれたとき、迷子になったときに、猫ちゃんとの再会できるか否かは、明示の有無が大きく影響します。

①迷子札(ネームプレート)の装着

川崎市では犬の「畜犬登録制度」「札の犬への装着義務」のような制度は猫にはなく、類義の制度ととして任意の「迷子札の配布」を受けることができます。区の衛生課で配布しており、飼い主の「氏名・連絡先」などを記入できます。そうです、先述した「所有占有の意思がある」旨をここで主張できるんです。

全国の自動車との事故が原因とみられる猫ちゃんの死体(ロードキルといいます)の収容数は毎年、30万件近くあります。迷子札をしていない場合、庭猫や出入り自由猫、逃げてしまった内猫が、見つからないまま怪我や病気で亡くなってしまうことを防ぎます。

②マイクロチップの装着・登録 

令和4年6月1日から、動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正により、犬猫に対するマイクロチップの装着が新たな制度として始まりました。

販売業者・飼い主・獣医師にそれぞれに役割を課して、犬や猫の所有者の明示に努めるようにとしたのです。

犬猫等販売業者(ブリーダーやペットショップ等)の義務
令和4年6月1日以降に生まれた・取得した犬と猫に対し、その日から30日以内、又は販売(譲渡)する日のうち、早い方の日までにマイクロチップを装着し、装着したらまたその日から30日以内、又は販売(譲渡)する日のうち、早い方の日までに所有者や犬又は猫の情報を環境大臣の登録を受けてください。なくてはいけません。
要は、飼い主に引き渡す際には必ずマイクロチップが装着されている状態で引き渡しを行わないといけないという事です。

新しく飼い主になる人
上記の犬猫販売業者へのマイクロチップの装着の義務があるため、ブリーダーやペットショップ等から購入した犬又は猫にはマイクロチップが装着されています。
購入の際、マイクロチップの登録証明書が交付されます。飼い主の方は、その登録証明書の情報を元に、自分が飼育する動物として、30日以内に所有者情報を変更するための変更登録を指定登録機関に行います。
登録変更をした際に交付される新しい登録証明書は引っ越しや猫ちゃんの譲渡の場合にまた内容の登録をするために必要となりますので、失くさないよう注意してください。

マイクロチップを装着していない犬・猫を飼っている方
飼っている犬や猫にマイクロチップを装着するよう努め、装着した場合は、30日以内に所有者・犬又は猫の情報を登録します。

迷子等になった猫ちゃんを保護してくれた個人が、猫ちゃんのマイクロチップ装着制度を知らない場合もあります。どちらか一方ではなく、迷子札とマイクロチップの両方を装着されることが推奨されています。

また、一切外に出していない猫ちゃんに関しても災害や万一脱走してしまった場合を考え、両方の装着が推奨されています。とくに内猫ちゃんは外での生活や、立地を把握していないケースが多いので、内猫ちゃんでも実質必須だと思われます。

動物愛護管理法 第39条の2(マイクロチップの装着)

犬猫等販売業者は、犬又は猫を取得したときは、環境省令で定めるところにより、当該犬又は猫を取得した日から三十日を経過する日までに、当該犬又は猫にマイクロチップを装着しなければならない。ただし、当該犬又は猫に既にマイクロチップが装着されているとき並びにマイクロチップを装着することにより当該犬又は猫の健康及び安全の保持上支障が生じるおそれがあるときその他の環境省令で定めるやむを得ない事由に該当するときは、この限りでない
犬猫等販売業者以外の犬又は猫の所有者は、その所有する犬又は猫にマイクロチップを装着するよう努めなければならない

動物愛護管理法 第39条の3(マイクロチップ装着証明書)

獣医師は、前条の規定により犬又は猫にマイクロチップを装着しようとする者の依頼を受けて当該犬又は猫にマイクロチップを装着した場合には、当該マイクロチップの識別番号その他環境省令で定める事項を記載した証明書を当該犬又は猫の所有者に発行しなければならない。
2マイクロチップ装着証明書の様式その他の必要な事項は、環境省令で定める。

動物愛護管理法 第39条の4(取外しの禁止)

何人も、犬又は猫の健康及び安全の保持上支障が生じるおそれがあるときその他の環境省令で定めるやむを得ない事由に該当するときを除き、当該犬又は猫に装着されているマイクロチップを取り外してはならない

動物愛護管理法 第39条の5(登録等)

次の各号に掲げる者は、その所有する犬又は猫について、当該各号に定める日から三十日を経過する日までに、環境大臣の登録を受けなければならない。
一 第三十九条の二第一項又は第二項の規定によりその所有する犬又は猫にマイクロチップを装着した者 当該マイクロチップを装着した日
二 マイクロチップが装着された犬又は猫であつて、この項の登録を受けていないものを取得した犬猫等販売業者 当該犬又は猫を取得した日


2登録を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名及び住所並びに電話番号並びに登録を受けようとする犬又は猫の所在地
二 登録を受けようとする犬又は猫に装着されているマイクロチップの識別番号
三 前二号に掲げるもののほか、環境省令で定める事項


3登録を受けようとする者は、前項の申請書に、マイクロチップ装着証明書を添付しなければならない。


環境大臣は、登録をしたときは、環境省令で定めるところにより、当該登録を受けた者に対し、その所有する犬又は猫に関する証明書を交付しなければならない。


5登録証明書には、環境省令で定める様式に従い、登録を受けた犬又は猫に装着されているマイクロチップの識別番号その他の環境省令で定める事項を記載するものとする。


6登録を受けた者は、登録証明書を亡失し、又は登録証明書が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣に申請をして、登録証明書の再交付を受けることができる。


7環境大臣は、登録に係る事項を記録し、これを当該登録が行われた日から環境省令で定める期間保存しなければならない。


8登録を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項その他の環境省令で定める事項に変更を生じたときは、環境省令で定めるところにより、変更を生じた日から三十日を経過する日までに、その旨を環境大臣に届け出なければならない。


9登録を受けた犬又は猫の譲渡しは、当該犬又は猫に係る登録証明書とともにしなければならない。

屋内で飼うこと!(内猫として飼育する)

毎年の熱波に、コンクリートジャングル、舗装された地面ばかりの川崎で、イエネコが外で生き残ることは大変な困難です。猫ちゃんを屋内で飼育することは猫ちゃん・人ともに、大きなメリットがあります。地域の環境の保全、事故や病気の防止、また猫ちゃん一個体の病気を防止するだけにとどまらず、完全屋内飼いにすることで、他の動物から猫ちゃんを介し、他の動物への感染を防ぐことにもつながります。

猫ちゃんにも多くの種類があり、それぞれ特性がありますが、その特性をよく理解し、猫ちゃんを適切に快適な住環境を備えることができれば、完全な屋内飼育は難しいことではありません。

また、屋内で飼育すればそれで足りるわけではなく、屋内の衛生保全もしなくてはいけません。劣悪な環境下では、ストレスなどから毛並みの悪化、下痢、食欲の低下、免疫力の低下を及ぼすとされています。

  川崎市動物愛護条例 第5条 3項 

第1項各号に掲げる事項のほか、猫の飼い主は、猫の健康及び安全の保持並びに生活環境の保全のため、屋内での飼養又は保管に努めなければならない。

  川崎市動物愛護条例 第5条 1項 

(3) 動物の種類、習性等に適した飼養又は保管を行うための環境を確保すること。

  川崎市動物愛護条例 第5条 1項 

(5) 動物が逃げ出すことを防止するために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、動物が逃げ出した場合又は行方が分からなくなった場合は、自らの責任において捜索し、収容に努めること。

  川崎市動物愛護条例 第5条 1項 

(10) 汚物等を適正に処理することにより、動物の飼養又は保管のための施設の内外を清潔にし、悪臭又は昆虫等の発生を防止すること。

避妊・去勢手術をすること

猫ちゃんは野良猫の場合その本能から、ナワバリ保持のためのスプレー行動、喧嘩などがみられます。

また、猫ちゃんの特徴の一つとして高い繁殖能力が挙げられます。ワンちゃんと猫ちゃんの繁殖能力はケタ違いでワンちゃんよりも猫ちゃんのほうが不妊去勢手術を行うメリットを感じやすいのではないかと思います。

犬は、人と同様の「自然排卵」・・・年間1,2回、五日間ほどの排卵時期があり、時期が重ならないと交尾しても妊娠しにくい。

猫は、「交尾排卵」・・・哺乳類の中でも珍しい交尾をした刺激で排卵する動物です。雌猫は雄猫と別々に暮らしているので少ない交尾回数で妊娠するようにできているのではないかと言われています。・・・つまり交尾すれば高確率で妊娠する仕組みなのです。

猫ちゃんの妊娠期間は2ヶ月ほどと短いうえ、一度の出産で4~8頭の子猫を出産します。
2ヶ月ほどすると次の妊娠が可能になり、その子猫も生後6ヶ月ほどで繁殖可能となります。そして猫ちゃんたちは基本的には季節関係なく妊娠できるので、環境省によると、1匹のメス猫は3年もあれば2000頭以上に繁殖することができると試算されています。

猫ちゃんが繁殖しやすいという事はどういうことかというと、野良猫の増加、飼い猫の場合は多頭崩壊に繋がり、結果的には餓死をしてしまったり、環境の悪いところで生きざるを得なくなったり、さっ処分を検討される流れになってしまいます。

また人にとっても、飼っている猫ちゃんの思いがけない繁殖は経済的圧迫や屋内の不衛生化。野良猫の増加は、地域の環境を悪化させ、病気の媒介交通事故の誘発など、デメリットが多くあります。不妊去勢手術はその他、先述した猫ちゃんの喧嘩やスプレー行動も抑制するといわれています。

 猫ちゃんの飼い主は、命ある動物を管理する責任をもち、不妊去勢手術がなぜ必要でなぜ行うべきなのか、考えなくてはいけません。

こちらの環境省パンフレット「もっとかいたい?」がとても参考になります。ぜひ一読ください。

 川崎市動物愛護条例 第5条第1項

(4) 動物が繁殖して適正な飼養の機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講ずること。

近隣住民への配慮を怠らないこと!

猫だけにとどまらず、動物を人間の住む環境下で飼うという事は、基本的に人の安全が最優先です。猫ちゃんは人を不快にさせるほどの大きい音や声のない動物ではありますが、毛の飛散や臭いなどにも気を付けながら飼育しなくてはいけません。

また、基本的には内猫として飼われている猫ちゃんも、時に首輪にリードをつけて散歩させている飼い主もいますが、人の身体や公共施設はもちろん、個人の敷地や不動産、以外の車やその他の動産も損傷させないよう心掛けなくてはいけません。

 川崎市動物愛護条例 第5条第1項

(8) 動物の鳴き声又は動物から飛散する羽若しくは毛により、人に迷惑をかけないように飼養又は保管をすること。

 川崎市動物愛護条例 第5条第1項

(9) 動物が公園等の公共の場所又は他人の土地、建物等を不潔にし、又は損傷することのないように飼養又は保管をすること。

 川崎市動物愛護条例 第5条第1項

(11) 動物が人の生命、身体又は財産に害を加えないように飼養又は保管をすること。

かかりつけの動物医療機関を見つけておくこと・災害時の備えをしよう!

命を預かるにはその生態を深く理解していなくてはいけません。それにはプロの助言や健康診断等がかかせません。出来れば、近隣の信頼できる動物医療施設(動物病院)を確保し万一の病気やけがに備えましょう。

また、常に災害に備えておかなくてはいけません。先述した迷子札の装着や、日頃から猫ちゃん用のキャリーケースに慣れさせておく、日持ちのする餌を保管しておくなど、できることはたくさんあります。

 川崎市動物愛護条例 第5条第1項

(6) 動物に係る感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な措置を講ずるよう努めること。

 川崎市動物愛護条例 第5条第1項

(7) 災害時における動物の適正な飼養又は保管のための準備を行うよう努めるとともに、災害が発生した場合には動物の健康及び安全の保持のために必要な措置を講ずるよう努めること。

※猫にまつわる法令などは、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」「川崎市動物の愛護及び管理に関する条例」「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン(環境省)」などがありますが、今回は川崎に限るという事で「川崎市動物の愛護及び管理に関する条例」をメインに取り上げております。

コラム:なんで猫には狂犬病予防接種義務がないのか?

犬を飼う時にはあった狂犬病予防接種が猫ちゃんには義務化されていないのに気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

狂犬病は、ほぼすべての哺乳類が感染する可能性があり、猫ちゃんも、そして人も狂犬病になる可能性があります。かつ、狂犬病は感染率が高く、発症するとほぼ100%の確率で死亡するとされている大変危険な病気です。

日本では1957年以降の発症の報告はされていませんが、最後の一例は猫ちゃんだったという記録が残っています。それなのになぜ猫ちゃんは狂犬病の予防接種の義務がないのでしょうか?

理由はリスクが低いから・・・だそうです。 以下厚労省の狂犬病に関してのページからの引用です。

Q25 犬を飼う場合だけに規制があるのはなぜですか。
 A25 狂犬病は全ての哺乳類に感染しますが、特にアジアなどの流行地域での主なまん延の原因は犬です。世界中で狂犬病に感染する人の9割以上が犬から感染していることを見ても、人への被害を予防するために、犬の狂犬病をコントロールすることは有効です。日本でも万が一狂犬病が侵入した場合に備えた国内対策として、(1)飼い犬の登録と(2)飼い犬への狂犬病予防注射、(3)放浪犬の抑留を実施しています。
狂犬病に関するQ&Aについて

ここでいうリスクは「人への感染リスク」に関してでした。人への感染ルートになるのは猫ちゃんではなく、ほとんどがワンちゃんだから。だから、犬だけに予防接種義務があるのですね。

ですが、これは「猫ちゃんが感染するリスクが低い」という事ではありません。放し飼いしている猫ちゃんは、放し飼いされているワンちゃんよりも多く、出血を伴う喧嘩もしばしばみられます。アメリカではいまだ狂犬病の発症事例を確認でき、ワンちゃんよりも猫ちゃんのほうが発症数が多いという報告があります。

狂犬病の予防接種は猫ちゃんは義務ではないものの、打つことはでき、数千円で出来るので、個人的には完全室内飼いではない限り、接種したほうがいいのではないかなと思います。ただ、副作用のリスクは想定しなくてはいけません。

近隣に野生動物が多く住んでいる、猫ちゃんを屋外に放し飼いしている、などの事情がある場合は接種したほうがいいかもしれません。

さいごに

ワンちゃんと猫ちゃんは共に人間のパートナーとして、長きにわたり愛玩動物として生きてきて、時代の変化により様々な法整備が行われ環境も大きく変化してきました。しかしワンちゃんと違い、ノラがいたり、高い繁殖能力から捨てられてしまう猫もまだいるようです。

性格も生態も法律上の扱いも異なる両者。それぞれに適した環境を与え守ることで人間との関係性を守れると思っています。

調査員めるお

我々猫が幸せに生きれるかは人間一人一人の理解や協力にかかってます!