ブリーダーを目指すGさん
共働きの両親に育てられたGさん。
子供がさみしくないようにという父親の計らいで、
小学生のころ、パグ犬「グース」を飼い始めた。
食事をする時も寝る時もいつもグースと一緒。
いつの間にか老いてきたグースは、Gさんが中三のときに難病を発症する。
そのころから犬と人間の共生世界を考え始め、
高校卒業後、動物看護師の受験資格を満たすことができるという学部のある大学に入学する。
大学卒業後、動物看護師の資格を取得と同時期にグースは亡くなってしまう。
そこから10年間、グースがいなくなってしまった穴を埋めるように
Gさんは2か所の動物病院での勤務に邁進する。
その病院ではよくマイクロチップ挿入のためにブリーダーZさんから持ち込まれていたのだが
Zさんの話を聞くうちに、ブリーダーという職業の倫理観の高さに触れ、
今回、貯めた400万を資金にブリーダー開業を目指すことにした。
今回は「神奈川で」「第1種動物取扱業者登録の申請」を「自分でやる」ための方法が分かる記事です。要件さえ満たしていれば特別難しい申請ではありません。
記事が長い&初歩的な要素を網羅したページなので、本気でやってみたいと思っているけど、どうしたらいいのかわからない・・・という人向けの記事です!
はじめに
動物取扱業の登録を得るには、
登録までの流れ
を抑えながら、
登録拒否の基準(該当してたら登録できない)
登録要件の基準(該当してないと登録できない)
動物取扱責任者が在籍していること(いないとダメ)
の3つの要件を満たすことが必要です。順を追って説明していきます!
動物取扱業開業までの道のり
⑴どこでペット事業を行うか決める
⑵動物取扱業として登録できるか・動物取扱責任者が適任か調べる
⑶事前相談へ行く
⑷実際に必要な器具をそろえる
⑸必要な書類を作成する
⑹申請する
⑺実地調査
⑻許可承認後(動物取扱業の義務)
どこでペット事業を行う?
まず、ペット事業を行う前には、事業所として要件を満たすか、そもそもそこの地で事業が行えるのか?が重要な基礎となります。ペット事業は比較的に飲食店やその他の客商売のお店に比べ、駅が遠く人通りがまばらでも、あまり売り上げに影響が少ない事業だと思いますが、それ以前に多くの規制やチェックしておきたい要素があります。
いくつかにケースを分けて説明していきます。
【事業を行う物件(場所)の形態】
⑴分譲マンション・・・管理組合などで事業所としての使用が不可、そもそも動物の飼育が不可となっている可能性があるのでチェックする。マンションの管理組合に承認をもらっておいたほうがいいでしょう。
⑵賃貸アパート・・・居住用として利用している場合、賃貸借契約に違反する可能性が高いです。事務所としての利用が可能だとしても、ペット事業で実際にその物件で動物を使用するのは不適切と判断される可能性も高い。
⑶自己所有の土地・不動産・・・都市計画などの制限を確認します。地区の種類により設置できる飼養施設の大きさに制限もあります。
僕はグースを飼っていた実家(戸建て)でやろうと思っているんですが、どうなんでしょうか?
その場合も、その不動産の所有者が、事業での使用に同意をしている旨の証明できる書類が必要です!
それから、地域の種類でそこで何ができるか一定の制限があります。
もし、事業のために新たに不動産を買う、借りる、既存の自己所有の不動産をリフォームするなどの案がある場合、購入や賃貸やリフォーム後に登録ができないことが分かると大きなお金を無駄にすることが有るので、必ず購入や賃貸、リフォーム前には管轄の行政窓口(都市計画課、建築指導課など)に相談に行きましょう!
動物取扱業として登録できるか・動物取扱責任者が適任か調べる
では次に、ご自身が当物取扱業を行うにあたり、適切な事業者なのかの確認をします。
登録拒否の基準(該当していたら×)
動物愛護法は近年少しずつ規制が厳しくなっています。なのでここに該当したらまず登録は不可能だと思ってください。無慈悲にはじかれます!
都道府県知事は、
⑴第十条第一項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき
⑵同条第二項の規定による登録の申請に係る同項第四号に掲げる事項が動物の健康及び安全の保持その他動物の適正な取扱いを確保するため必要なものとして環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき
⑶同項の規定による登録の申請に係る同項第六号ロ及びハに掲げる事項が環境省令で定める飼養施設の構造、規模及び管理に関する基準に適合していないと認めるとき
⑷若しくは犬猫等販売業を営もうとする場合にあつては、犬猫等健康安全計画が幼齢の犬猫等の健康及び安全の確保並びに犬猫等の終生飼養の確保を図るため適切なものとして環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき
⑸又は申請書若しくは添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは
・・・その登録を拒否しなければならない。
→動物愛護法12条には、登録の申請をしたものがこれらの事由に該当した場合、都道府県知事は「登録を拒否しなければならない」とあります。
つまり、「登録を拒否することができる(知事の判断で可否を決められる)」のではなく「確実に拒否される事由」となります。ではそれはどのような条件なのでしょうか。詳しく見ていきましょう!
⑴第十条第一項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき
一 心身の故障によりその業務を適正に行うことができない者として環境省令で定める者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 動物取扱業の登録を取り消され、その処分のあつた日から5年を経過しない者
四 法人が動物取扱業の登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前30日以内にその第一種動物取扱業者の役員であつた者でその処分のあつた日から5年を経過しないもの
五 業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
五の二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
六 動物に関しての規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
七 暴力団員である、又は暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
七の二 第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として環境省令で定める者
八 法人であつて、その役員又は環境省令で定める使用人のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
九 個人であつて、その環境省令で定める使用人のうちに第1号から第7号の2までのいずれかに該当する者があるもの
俺は暴力団だったこともないし、そもそも法律に違反したことがない、動物の取り扱いにおいてなにも問題を起こしたことがない!
という方は、基本的に該当しない部分になります。
ここまでは、いけないことをしていたのではないか?という「過去の事」をみられます。ここからは「きちんと動物を取り扱う準備ができているか?」の「未来の事」をみられます。
⑵同条第二項の規定による登録の申請に係る同項第四号に掲げる事項が動物の健康及び安全の保持その他動物の適正な取扱いを確保するため必要なものとして環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき
↓同項第四号に掲げる事項とは↓
四 その営もうとする第一種動物取扱業の種別(販売、保管、貸出し、訓練、展示又は前項の政令で定める取扱いの別をいう。以下この号において同じ。)並びにその種別に応じた業務の内容及び実施の方法
⑶同項の規定による登録の申請に係る同項第六号ロ及びハに掲げる事項が環境省令で定める飼養施設の構造、規模及び管理に関する基準に適合していないと認めるとき
↓同項第六号ロ及びハに掲げる事項とは↓
六 動物の飼養又は保管のための施設(以下この節から第4節までにおいて「飼養施設」という。)を設置しているときは、次に掲げる事項
- ロ 飼養施設の構造及び規模
- ハ 飼養施設の管理の方法
⑷若しくは犬猫等販売業を営もうとする場合にあつては、犬猫等健康安全計画が幼齢の犬猫等の健康及び安全の確保並びに犬猫等の終生飼養の確保を図るため適切なものとして環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき
⑸又は申請書若しくは添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているとき
なんだか難しそうだけど、かみ砕いていうと、要はきちんと定められたルールにのっとって準備をしたりして嘘偽りなく申請してください!ってことですね!
要件(該当していれば〇)
それでは登録拒否事由に該当していないことの確認が取れたら、次に「該当していないと登録ができない」要件なのですが、一部は先ほどの「該当していたらダメ」な要件を裏返した形になります。
要件は大きく分けて4つ。
- 飼養施設・設備(ケージ等)
- 従業員数
- 環境の管理
- 疾病等に係る措置
- 動物の管理
+登録する事業の種類に応じた基準
それに合わせ、犬猫を取り扱う場合は
- 犬猫等販売業に関する上乗せ基準
も要件として足されます。
こちらは非常に細かくも重要な点になります。
この辺はまた詳しい解説記事をアップしていきます!
動物取扱責任者が在籍していること(いないとダメ)
第一種動物取扱業を興す際は必ず一人は「動物取扱責任者」を置かなくてはなりません。
それでは、動物取扱責任者とはどのような人がなれるのでしょうか?
- 資格+実務経験
- 卒業+実務経験
- 獣医師免許の免許所有
- 愛玩動物看護士の免許所有
上記の①~④いずれかに該当している者でなければ、動物取扱責任者になることは出来ません。
「登録拒否基準(該当してたらダメ)」と「登録要件(該当しないとダメ)」と「動物取扱管理者の確保(いないとダメ)」
「登録拒否基準(該当してたらダメ)」は比較的簡単ではありますが、「登録要件(該当しないとダメ)」の要件を満たす用意をすることや、「動物取扱管理者の確保(いないとダメ)」は大変な方には何か月も時間が必要な要件になります。
しかし、この3つをクリアしたら、ついに事前相談へと動き出せます!
事前相談
多くの許認可に言えることなのですが、事前に窓口となる行政庁に相談することは、その後の申請の処理をスムーズに行ってもらうため、非常に大切なプロセスになります。
①電話をし
②相談に行く日程を決め(要電話予約)
③実際に相談では、氏名や事業所の場所、取り扱う動物の種類、事業の内容など伝えると、必要となる情報を教えてくれます。
ちなみに、窓口の名称などは各地域により統一されていません。
動物愛護センターの場合や、健康福祉局保健衛生部生活衛生課や動物愛護管理班など様々ですので、「動物取扱業 〇〇県」と検索して出てきた窓口がいいかと思います。
以下、川崎市の場合です。
川崎区 | 川崎区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)201-3222 |
幸区 | 幸区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)556-6681 |
中原区 | 中原区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)744-3271 |
高津区 | 高津区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)861-3322 |
宮前区 | 宮前区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)856-3270 |
多摩区 | 多摩区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)935-3306 |
麻生区 | 麻生区役所地域みまもり支援センター衛生課 | (044)965-5164 |
実際に必要な器具をそろえる
もうすでに揃えていることとは思いますが、窓口で相談した結果、追加で必要となる「あったほうがいい」もしくは「ないといけない」ものが分かることが有るかと思います。
また、大きなお金が必要となった場合は、このタイミングで補助金の申請などを検討してもいいかもしれません。
申請書類を揃える
ここが皆さんの動物取扱業の鬼門となるかと思います・・・・!!
必要な書類は下記の一覧です。(東京都の場合)
- 第一種動物取扱業登録申請書
- 第一種動物取扱業の実施の方法
- ( 販売業及び貸出し業のみ必要)
- 動愛法第12条第1項第1号から第7号の2までに該当しないことを示す書類
- 飼養施設の平面図及び付近の見取図(→平面図は飼育施設を設置する事業者のみ。見取り図は飼育施設を設置しない事業者も提出をおすすめします。)
- 役員の氏名及び住所の一覧(A4用紙に記載したものを提出)
- 第一種動物取扱業又は第二種動物取扱業の事業の実施に関わる場所使用権原自認書( 土地又は建物を自身で所有しており、不動産の登記事項証明書が提出できない場合に必要)
- 第一種動物取扱業又は第二種動物取扱業の事業の実施に関わる場所使用承諾証明書( 土地又は建物を借り受けており、賃貸借契約書に動物取扱業の営業を認める旨の記載がない場合に必要/弊所では大家さんや管理会社へ取りに伺っています)
- 第一種動物取扱業登録申請書
- 第一種動物取扱業の実施の方法
( 販売業及び貸出し業のみ必要)
- 動愛法第12条第1項第1号から第7号の2までに該当しないことを示す書類
- 飼養施設の平面図及び付近の見取図(平面図は飼育施設を設置する事業者のみ。見取り図は飼育施設を設置しない事業者も提出をおすすめします。)
- 役員の氏名及び住所の一覧(A4用紙に記載したものを提出)
- 第一種動物取扱業又は第二種動物取扱業の事業の実施に関わる場所使用権原自認書( 土地又は建物を自身で所有しており、不動産の登記事項証明書が提出できない場合に必要)
- 第一種動物取扱業又は第二種動物取扱業の事業の実施に関わる場所使用承諾証明書( 土地又は建物を借り受けており、賃貸借契約書に動物取扱業の営業を認める旨の記載がない場合に必要/弊所では大家さんや管理会社へ取りに伺っています)
以下の二通は犬猫の販売の取扱業者に必要です
- 犬猫等健康安全計画(第一種動物取扱業の販売業を新規申請される方のうち、 犬猫等を販売される方は、 「犬猫等健康安全計画」が必要)
- ケージなどの規模を示す平面図・立面図(※ 犬猫を取り扱う場合に必要。A4用紙に記入)
申請書類を提出!
こちらもかならず電話で予約します。
申請に行く日時を決め、その予約の電話で登録手数料の払い込み方法について聞いておきましょう。東京都では印紙での払い込みに対応していなかったりもありますので、各地で差があるようです。
当日、なんの問題もなければ書類は受理され、定められた払い込み方法で支払いをし、あとは審査の結果を待つのみです!
実地調査
申請後、実地調査(現地調査というところもあります。)が行われます。
申請された配置図と、実際の作りに相違がないか、定められた設備は完備されているか、動物が逃げてしまうような作りになっていないか、ネズミが入ってこないか・・・・などなど。
調査と共に、今後事業が行われるに際し帳簿などの取り扱いの指導をしてくれたりなど・・・。
もちろんみられるところは登録する業種により変わってきます。
調査だなんてちょっと怖いなあ・・・。
もちろん、施設がダメダメだった場合は登録が拒否される場合もあります。そうならないためにも事前相談でいろいろ聞いておくといいと思います!
ちなみに、地域によって調査の細かさは少し差があるようです。
登録後の義務など
年一回以上の動物取扱責任者の法定研修の受講が義務付けられています。
また、当然ながら、動物の適切な取扱、管理はもちろんのこと、帳簿作成・報告義務もあります。
そして、必要に応じ管轄している都道府県や市町村の担当者などの立ち入り検査があります。
場合により、改善の勧告や命令が出されることもありますし、命令に従わなかった・虚偽の報告をした場合、罰金に処せられます。
廃業するときも届出が必要です。
第一種動物取扱業の登録の申請はいうほど難しくはありませんが、動物の命を取り扱うという職業柄、腰掛程度では始められない。そんなお仕事かと思います。
注意
動物取扱業とは、哺乳類・鳥類・爬虫類を対象に取り扱う事業種です。
ですが、哺乳類・鳥類・爬虫類であっても、そうでなくとも、保護動物や規制動物を取り扱う場合は、別途もしくはプラスして、登録や許可が必要となります。
新しい種類の動物を取り扱おうとする際は必ず最寄りの管轄行政庁へ相談してください。
動物取扱業の登録を経ていても、動物を有償で運搬する(トリミングサロンや、ホテル、販売業などが多いかと思います)場合、運送業の許可も合わせて必要となる場合がございます。
他にも、飲食店営業許可などが必要になる業態もあります。
その他、新規サービスを行う際、新たな許認可が必要な場合もございます。お客様のニーズや費用対効果などを考え新しいサービスを始める際は、行政書士にご相談ください。
まとめ
ここまでご覧になっていただいてどうでしたか?
動物取扱業の登録の申請は比較的難易度の高いものではありませんが、それを開業や動物の世話と同時進行で行うとすれば、まったく話が変わります。
なんだか難易度は高くないのかもしれないけど、時間や手間がかかりそうですよね・・・!
そうなんです。
どうしても官公庁の開庁時間は、開業の活動時間と被りますし、その他の許可と合わせて登録申請を行うとなれば至難の業となります。
動物取扱業は行政書士が一貫して行うことができる業務なので、安価にスピーディに済ませることができますし、
お客様に対して交付する契約書の作成もつくれますよ!
行政書士に依頼出来ることは、実はこんなに多いのです。
グースって名前の事業所にしよう!
グースと育った実家で開業しよう!
っていうのは決まってるんです。
始めようとは思ってるんだけど、詳細は決まってない・・。って状態でも、相談は可能なんでしょうか?
もちろん!動物取扱業のたまごのみなさんからのご相談お待ちしております!
お問い合わせはこちらからどうぞ!